南あわじ市門崎砲台跡の保存と活用に関する要望について(回答)

教文第1989号

令和5年10月11日

一般社団法人 日本考古学協会

埋蔵文化財保護対策委員会

委員長 山田 康弘 様

兵庫県教育委員会

文化財課長

 

南あわじ市門崎砲台跡の保存と活用に関する要望について(回答)

 令和5年9月14日付け埋文委第3号の「南あわじ市門崎砲台跡の保存と活用に関する要望書」について、以下の通り回答いたします。

 

1 大鳴門橋周辺整備事業に伴う、南あわじ市教育委員会実施の発掘調査で発見された穹窖砲台は、第二次世界大戦直後にアメリカ軍によって爆破を受けた損壊状況も確認できるが、国内最大級の旧状を留めていることから、近代の歴史資料として貴重な成果と考えている。

2 県教育委員会は、調査で判明した遺構の価値を踏まえ、文化財保護法第94条に基づく適正な取扱を図るよう市に求めてきた。また、損壊状況についても、構造上の危険度や現地保存を判断できるようにするために、土木工学等に基づく診断データが必要と市に助言・指導したところである。

3 このたび市は、市の文化財保護審議会の意見も踏まえ、発掘調査終了後に砲台を取り壊す当初の方針を変更して、その価値を保存することとし、関連予算が市議会で可決されたところである。県としては、引き続き遺構の価値を踏まえた取扱が図られるよう、市に働きかけてまいりたい。

4 門崎砲台跡を含む鳴門要塞について、県教育委員会では、平成25(2013)年刊行の『兵庫県の台場・砲台』で、基礎的な調査を実施した。今後市が、さらなる学術調査を行う場合には、県が埋蔵文化財発掘調査国庫補助の獲得を国に働きかけるなどの支援を行う。