羽田アクセス線予定地における高輪築堤跡の保存に関する要望について 

埋文委 第6号

2024年1月31日

文化庁長官                                         都倉俊一 様

東京都知事                                      小池百合子 様

東京都教育委員会教育長                        浜佳葉子 様

港区区長                 武井雅昭 様

港区教育委員会教育長           浦田幹男 様

東日本旅客鉄道株式会社 代表取締役社長  深澤祐二 様

一般社団法人日本考古学協会

埋蔵文化財保護対策委員会

委員長 山田康弘

 

羽田アクセス線予定地における高輪築堤跡の保存に関する要望について 

 

 標記の件について、別添書類のように、当該遺跡は学術上きわめて重要な内容を有するものであり、貴殿におかれましては、適切な保存の対策が講じられることを要望いたします。

 なお、まことに恐縮ですが、当件に係る具体的な措置および対策につきまして、2024年2月22日(木)までに、当協会埋蔵文化財保護対策委員会委員長宛にご回答を下さるようお願いいたします。 

 

 1 提出書類

   別添のとおり 1通


埋文委 第6号

2024年1月31日

文化庁長官                                         都倉俊一 様

東京都知事                                      小池百合子 様

東京都教育委員会教育長                        浜佳葉子 様

港区区長                 武井雅昭 様

港区教育委員会教育長           浦田幹男 様

東日本旅客鉄道株式会社 代表取締役社長  深澤祐二 様

一般社団法人日本考古学協会

埋蔵文化財保護対策委員会

委員長 山田康弘

 

羽田アクセス線予定地における高輪築堤跡の保存に関する要望書

 

 日本考古学協会は、高輪築堤跡について、2021年1月22日付埋文委第9号による全面保存を求める要望書を提出して以来、2度にわたる会長声明(同年3月2日、9月25日)、3度にわたる会長コメント(同年4月5日、4月21日、5月31日)、そして日本歴史学協会との共同要望書の提出(同年8月16日)を行い、その保存を訴えてきました。

 関係者各位のご尽力の結果、一部保存・一部移築が決定し、現地保存部分の国史跡化となりました。しかし、国指定史跡旧新橋停車場跡から直接続き、海上に建設された築堤の大部分は、大変良好な残存状況であったのにもかかわらず、記録保存のみで消失してしまいました。これはきわめて遺憾なことです。

 現在も周辺の再開発に伴う調査が進んでおり、各所で高輪築堤に関連する遺構が良好な状態で検出され、田町駅北側の羽田アクセス線予定地からも築堤の一部が検出されたとのことです。また、文献調査から薩摩台場に関連する遺構も存在することが予想されます。

 これまでの残存状況から考えても、羽田アクセス線予定地にも良好な状態で築堤が続いていることが予想されます。今後は、記録保存を前提とした調査ではなく、現地保存を前提とした調査を行い、開発の計画変更を含め協議すべき時期にきているといえます。日本の鉄道黎明期の高輪築堤跡を、現在の都市景観の中に活かす最後の機会になるといっても過言ではありません。

 以上により、日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員会は、下記の通り要望いたします。

 

1 羽田アクセス線予定地の高輪築堤跡が残存する部分について、全面保存を前提とした調査を実施したうえで、関係機関が協議のうえ、今後の開発方針を決定すること。

2 東日本旅客鉄道株式会社・港区・東京都・文化庁は、品川開発プロジェクト(第Ⅱ期)予定地を含む、高輪築堤跡が残存する部分の全面的な保存・活用にむけて検討を開始すること。