多良古墳群の保存に関する要望書

埋文委 第4号
2024年10月3日

文化庁長官  都倉 俊一 様
徳島県知事  後藤田 正純 様
海陽町長   三浦 茂貴 様
海陽町教育長 三浦  良 様

一般社団法人日本考古学協会
埋蔵文化財保護対策委員会
委員長  吉田 広

 

多良古墳群の保存に関する要望書

 

 標記の件について、別添書類のように、当該遺跡は学術上きわめて重要な内容を有するものであり、貴職におかれましては、適切な保存の対策が講じられることを要望いたします。

 なお、まことに恐縮ですが、当件に係る具体的な措置および対策につきまして、2024年11月8日(金)までに、当協会埋蔵文化財保護対策委員会委員長宛にご回答を下さるようお願いいたします。

 

 1 提出書類
   別添のとおり 1通

 


埋文委 第4号
2024年10月3日

文化庁長官  都倉 俊一 様
徳島県知事  後藤田 正純 様
海陽町長   三浦 茂貴  様
海陽町教育長 三浦 良 様

一般社団法人日本考古学協会
          埋蔵文化財保護対策委員会
          委員長   吉 田  広 

 

多良古墳群の保存に関する要望書

 

 海陽町多良の海部インターチェンジ(仮称)予定地内で発見された、前方後円墳1基を含む5基からなる多良古墳群は、これ以南・以西の徳島県から高知県土佐湾沿岸に前方後円墳が現在見つかってない状況下、古墳自体そして古墳に象徴される社会や文化の広がり・関係性を考える上で、きわめて重要な意義をもちます。さらに、多良古墳群周辺には弥生時代終末から古墳時代初めの寺山墳丘墓や、他地域との交流を示す遺物が多く出土した芝遺跡、さらに時代は隔たりますが古墳時代後期の大里古墳群も存在し、海部川河口一帯が弥生時代終末から古墳時代に重要な地位を占めていたことがうかがえます。
 しかし今般、徳島県と国土交通省の協議において、前方後円墳である1号墳とそれに隣接する2号墳については事業計画を見直し現地保存しつつも、3~5号墳については記録保存とする方針であることが示されました。埋蔵文化財保護のために一部工事計画の変更を提起いただいたことに敬意を表するところですが、それでもなお、国史跡相当とも評価する多良古墳群を一体として保存することこそ、歴史的意義があると考えます。それはまた古墳時代に有力者がこの地に存在したことの証しとして人々の関心を呼び、町の活性化に大いに寄与すると信じます。
 以上のことから、一般社団法人日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員会は、新発見の多良古墳群について、埋蔵文化財保護の観点より以下の通り要望します。

 

1.多良古墳群を歴史的重要性に基づき、5基からなる古墳群を一体的に現地保存すること。

2.多良古墳群の歴史的重要性の詳細を明らかにするため、県および町の体制整備を図り、さらに調査検討を進めること。

3.調査成果に基づき、多良古墳群の史跡指定を行い、保存活用を図ること。