埋文委 第3号
2023年9月14日
文化庁長官 都倉俊一 様
兵庫県知事 斎藤元彦 様
兵庫県教育委員会 教育長 藤原俊平 様
南あわじ市市長 守本憲弘 様
南あわじ市教育委員会 教育長 浅井伸行 様
一般社団法人日本考古学協会
埋蔵文化財保護対策委員会
委員長 山田康弘
南あわじ市門崎砲台跡の保存と活用に関する要望書
標記の件について、別添書類のように、当該遺跡は学術上きわめて重要な内容を有するものであり、貴職におかれましては、適切な保存・活用の対策が講じられることを要望いたします。
なお、まことに恐縮ですが、当件に係る具体的な措置および対策につきまして、2023年10月13日(金)までに、当協会埋蔵文化財保護対策委員会委員長宛にご回答を下さるようお願いいたします。
記
1 提出書類
別添のとおり 1通
埋文委 第3号
2023年9月14日
文化庁長官 都倉俊一 様
兵庫県知事 斎藤元彦 様
兵庫県教育委員会 教育長 藤原俊平 様
南あわじ市 市長 守本憲弘 様
南あわじ市教育委員会 教育長 浅井伸行 様
一般社団法人日本考古学協会
埋蔵文化財保護対策委員会
委員長 山田康弘
南あわじ市門崎砲台跡の保存と活用に関する要望書
南あわじ市教育委員会によって、発掘調査が行われている旧日本軍の門崎砲台跡は、日清戦争後の明治30 年代の前半、鳴門海峡を通過して大阪湾に侵入する敵艦船を阻止する目的で建設された鳴門要塞の一つです。戦後の開発等によって滅失したのではないかと考えられていましたが、今回の調査により、原形を保って残存していることが確認され、特徴的な構造であることが明らかとなりました。
明治期の砲台としては異例の天井を持ったドーム型の「穹窖(きゅうこう)砲台」と呼ばれる様式で、コンクリート製で国内最大級のものです。砲床、方形に作られた砲門などの施設が極めて良好な状況で残り、分厚い天井部には排気口と考えられる円孔が穿たれているのも確認されています。このように、門崎砲台跡は、鳴門要塞で最初に構築された明治期を代表する戦争遺跡と位置付けられ、日本近代史上の歴史資料として、非常に重要なものといえます。
調査終了後に建設が予定されている商業施設によって、門崎砲台跡は消滅の危機にあります。現在の経済的効果を最優先して、保存すべき資源を破壊することは極めて遺憾です。鳴門要塞の一つとして本来の場所にあってこそ門崎砲台の価値が保持され、市民が郷土の歴史を学ぶことのできる場所となり、地域資源・観光資源として十分に活用されることが期待できます。
以上のことから、一般社団法人日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員会は、南あわじ市門崎砲台跡の保存・活用のために、以下の通り要望します。
記
1 商業施設の設計変更等によって、門崎砲台跡を現地で保存すること。
2 現地保存した砲台跡について、文化財として適切な補強工事を実施し、市民及び来訪者に公開することに加え、地域資源として活用する計画を検討すること。
3 門崎砲台跡を含む鳴門要塞全体について、国の史跡指定を視野に入れた学術調査を実施すること。