島教文財第567号
令和5年10月26日
一般社団法人日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員会
委員長 山田 康弘 様
島根県知事 丸山 達也
島根県教育委員会教育長 野津 建二
「大社基地遺跡群」主滑走路跡東端付近県有地の保存に関する要望について(回答)
2023年10月6日付けで要望のありました島根県知事及び島根県教育委員会教育長あての2通の要望につきましては、下記のとおり回答いたします。
記
要望のありました、
1.出雲児童相談所の移転計画を再検討し、「大社基地遺跡群」主滑走路跡東端付近県有地を現状保存していただくこと。
2.「大社基地遺跡群」主滑走路跡東端付近県有地を保存・整備し、周辺の基地関連遺構とともに歴史学習・平和学習の場として積極的活用を図ること。
の2点について、併せて回答します。
県としては、後述のとおり、当該地が、文化財保護法上の指定や保存に向けた措置をとる考えはないと判断された土地であること、また、他の移転候補地についても検討した結果、必要面積や費用面などから他に適地がなく、現出雲児童相談所の男女混合処遇や施設狭隘の状況を早期に改善する必要があるとの考えから、令和5年2月の定例県議会において説明し関連する予算の議決を受けたところであり、移転計画の再検討を行う考えはありません。
教育委員会としては、出雲児童相談所の移転予定地を含む旧海軍大社基地関連施設群の主滑走路跡地については、令和3年度に、第二次世界大戦期における戦争遺跡の価値判断基準が明確でないこと、他県等でも文化財指定が進んでいないことにより、文化財保護法上の指定や保存に向けた措置をとる考えはないと判断しています。
なお、当該地については、昭和51年から平成29年にかけて島根県警察交通機動隊簸川訓練場として利用されてきており、現在、アスファルト舗装が施されております。
そのため、コンクリートの残存状況は明らかではありませんが、今後、出雲児童相談所移転建設工事に伴い実施される地質調査の結果、コンクリートが残存していた場合には、児童生徒や地域の方々の平和学習での活用に向けて、記録保存のための調査など、対応を検討する考えです。
また、出雲市においても、主滑走路跡地の一部である市所有地を現状保存し、平和学習の場として活用される予定です。
旧海軍大社基地関連施設群全体につきましては、教育委員会が実施している近代遺跡調査の結果及び、来年度以降出雲市で計画されている総合調査の成果を踏まえ、出雲市と協議しながら、歴史学習・平和学習での活用を含めた、今後の取扱いについて検討していきたいと考えています。