一般社団法人日本考古学協会第82回(2016年度)総会報告

 日本考古学協会第82回(2016年度)総会は、5月28日(土)、29日(日)の二日間、東京都小金井市にある東京学芸大学を会場として開催された。東京学芸大学における総会の開催は、1994年、2006年に続いて3回目となる。前日の27日には、理事会と埋蔵文化財保護対策委員会が開催され、当日28日の午前10時から芸術館1階ホールにて、総会が開催された。参加者は、28日398名(会員309名・一般89名)、29日1,075名(会員702名・一般373名)で、合計1,473名に上った。2016年3月末現在の会員数は4,109名であり、前年度の物故会員は23名で、退会者は72名である。総会にて新たに認められた新入会員は66名なので、近年見られてきた会員数の減少傾向は、今年度も歯止めがかかっていない。
 総会冒頭、樋口隆康会員をはじめ23名の物故会員への黙祷が捧げられた後、髙倉洋彰会長から開会挨拶があり、続けて日高慎総会実行委員長から歓迎の挨拶をいただいた。続いて司会から本総会が成立要件を満たすことが報告され、会長を議長とし、理事会が推薦した副議長・書記が承認され議事に入った。
 議事の最初は、事柄の性格上顕彰および承認案件から行われた。最初に昨年度創設された名誉会員の初めての報告が行われ、岩崎卓也会員への名誉会員の授与が理事会から提案され、承認を受けた。ただし岩崎会員は現在療養中のため、常木晃会員が代理で賞状を受領した。続いて「第6回日本考古学協会賞の報告並びに承認、表彰」が行われ、大賞には関根達人会員の『中近世の蝦夷地と北方交易』が、奨励賞には角田徳幸会員(当日都合により欠席)の『たたら吹製鉄の成立と展開』が協会賞選考委員会より推薦され、総会での承認を得て表彰が行われた。3件目として、長年にわたる協会公式サイトの運営に対する感謝の意を表するため、水山昭宏会員に感謝状が贈られた。協会の公式サイトは、前年度・今年度の予定で全面改訂が行われており、完成版ではないが前日付で新しいサイトが公開された。続いて承認案件として、「入会資格審査報告並びに承認」が行われ、山崎和巳入会資格審査委員長から66名が資格審査を通過したとの報告があり、承認された。ただちに新入会員が登壇して紹介され、代表して角道亮介会員(東京都)が抱負を述べた。
 議事次第に従い、2015年度事業報告(総大会・公開講座・理事会・年報・機関誌等)が行われ、続いて委員会報告として、陵墓、研究環境検討、広報、国際交流、社会科・教科書等検討、埋蔵文化財保護対策、東日本大震災対策特別委、協会図書小委、諸規則・規定等見直し検討会の報告が行われた。このうち国際交流委員会報告では、本年8月末~9月初めにかけて京都・同志社大学で開催される第8回世界考古学会議に協会も後援・協力することが報告された。また諸規則・規定等見直し検討会報告では、昨年の総会に引き続き、あるいはこの間の会報でも報告・説明してきたように、協会刊行物に執筆する・した会員に対して著作財産権の協会への譲渡と賛助会員制度の創設を再度説明した。続いて2016年度活動計画および予算について報告が行われ、「その他」として、2件の追加報告がなされた。高尾山古墳の保存問題に関するその後の経過と「文化財に関する諸問題検討会」の報告である。
 続いて審議事項に入り、2015年度の決算報告と監事報告が行われ、審議の結果承認された。なお関連法の改訂に伴い、監事の役割が従来のイメージにあるような会計監査だけではなく、協会の活動全般にわたることに対する注意喚起が行われた。今年度は理事改選の年にあたるため、理事選挙が行われ、その結果が清水信行選挙管理委員長から報告され、審議の結果承認された。続いて石川副会長から、現監事2名(吉田哲夫監事・白井久美子監事)がともに4年の任期を終えるため、新監事2名(吉田哲夫監事[継続]・唐澤至朗監事)の選出について提案を行い、審議の結果承認された。最後に平成28年熊本地震対策特別委員会の設置が緊急提案された。宮本理事から提案説明が行われ、審議の結果承認された。
 総会での承認を受けて、昼食休憩時の新理事による臨時理事会(於:小金井クラブ)が開催され、互選により谷川章雄理事が代表理事・会長に選出された。続いて会長の指名により、近藤英夫・石川日出志両理事が、副会長に選出された。さらに各理事の役割分担が行われた。午後1時30分から再開された総会の冒頭、新理事の紹介と谷川新会長から所信表明の挨拶が行われた。
 引き続き午後2時から記念講演会が開催された。髙倉会長の挨拶の後、出口利定東京学芸大学長から丁寧なご挨拶をいただき、木下正史会員(東京学芸大学名誉教授)による記念講演が行われた。午後3時10分からは同じ会場で、セッション1「縄文時代研究における文化財科学と考古学」が開催された。終了後学内の「第2むさしのホール」に会場を移して懇親会が開催され、歓談のひと時を過ごした。
 翌29日は、9つの会場に分かれて、口頭発表・ポスター発表・図書交換会が開催された。第1会場10件、第2会場9件、第3会場10件、第4会場9件の計38件の口頭発表と8つのセッション、38件のポスター発表(会員30件、高校生8件)が行われた。セッションの中には日本人類学会骨考古学分科会(セッション4「江戸時代人骨の生物考古学的研究の発展と展望」)や、日本学術会議博物館・美術館等の組織運営に関する分科会 (セッション7「博物館法をはじめとする関連法等の改正後の博物館・美術館のありかた」) との共催セッションが含まれており、裾野の広い考古学研究をよく象徴していた。また協会の東日本大震災対策特別委員会が担当したセッション8では、5年間の特別委員会の活動の総括を行い、報告書の刊行を残して特別委員会の活動を終えることとした。
 午後1~2時のポスターセッション・コアタイムでは発表者による解説が行われた。今年度は、将来を担う新世代の掘り起こしを企図して、新たに「高校生ポスターセッション」が創設され、全国の高校から8つのポスター発表が行われた。このセッションでは、成果に対する顕彰を行うこととし、徳島文理高校の立石雄大君の「阿波国における名号板碑と一遍上人」が最優秀賞に、同じく徳島文理高校郷土研究部の「吉野川下流域の高地蔵」と福岡県立糸島高校歴史部の「イトシマの狛犬」の2本が優秀賞に選ばれ、髙倉会長から表彰状と副賞が授与された。この試みはきわめて評判が良く、出口東京学芸大学長の挨拶の中でも言及され、朝日中高生新聞等のマスコミ取材もあった。来年以降も継続する予定である。
 今回の総会は、両日とも天候に恵まれたわりには快適であり、そのためか会員の参加が例年を上回っていた印象をもつ。総会を成功裡に終えることができたのは、ひとえに周到な準備と当日の心のこもった接遇をいただいた日高慎委員長をはじめとする総会実行委員会のスタッフ一同のおかげである。末筆ながら厚く御礼申し上げたい。

(総務担当理事 佐藤宏之)

一般社団法人日本考古学協会第82回(2016年度)総会(抄録)

日 時 2016年5月28日(土) 午前10時00分~午後0時40分

会 場 東京学芸大学芸術館1階ホール

 2016年5月28日(土)午前10時、宮本一夫理事の司会で開会し、冒頭、前年度の物故会員23名に対して黙祷を捧げた。次に一般社団法人日本考古学協会を代表して、髙倉洋彰会長から開催の挨拶があった。続いて第82回総会実行委員会を代表して東京学芸大学の日高愼委員長から挨拶があった。

 次に、司会から、現在の会員数が4,109名で、本日の出席者117名、委任状預かり分1,285名、合計1,402名となり、この総会が成立する旨の報告があった。また、本総会の議長は、定款第16条の規定に基づき髙倉洋彰会長がこれにあたり、副議長及び書記団は司会から指名するとの説明があった。副議長に東京都の平自由会員、黒尾和久会員、書記団として東京都の建石徹会員、依田亮一会員の指名があり、拍手をもって承認された。議長団の自己紹介後、直ちに議事に入った。なお、審議にあたり副議長から審議事項〈2〉、〈3〉、報告事項〈1〉は、議事の進行上冒頭で議案とするとの提案があり承認された。

審議事項

〈2〉名誉会員の承認について

石川副会長から、定款第5条に基づき、考古学協会の発展に寄与した個人として、東京都の岩崎卓也会員を名誉会員に推薦することを理事会で決定した旨を報告し、岩崎会員の略歴と業績を説明した。議長が承認を求め、拍手をもって承認された。表彰式では岩崎名誉会員の代理人として常木晃会員に表彰状が授与され、常木会員から岩崎先生と奥さまが大変喜んでいたとの報告とお礼の挨拶があった。

報告事項

〈1〉2015年度事業報告

1.日本考古学協会賞の報告並びに承認、表彰

清家章理事から第6回日本考古学協会賞選考委員会の選考結果が報告された。応募件数は10件で昨年度より多く、大賞に関根達人会員の『中近世の蝦夷地と北方交易』、奨励賞に角田徳幸会員の『たたら吹製鉄の成立と展開』が推薦され、理事会で承認されたことが報告された。ただちに決議され原案どおり承認された。髙倉会長から受賞者に賞状と記念品が授与され(角田会員は当日都合により欠席)、受賞者の関根会員から挨拶があった。
協会賞の式後、髙倉会長からの協会公式サイト運営にあたり献身的な協力をいただいた水山昭宏会員の功績について、理事会から表彰するとの説明があり、表彰状と記念品を授与した。

審議事項

〈3〉入会資格審査報告並びに承認

入会資格審査委員会の山﨑和巳委員長から資格審査の結果報告があった。本年度は入会申込み総数68名のうち、審査基準該当者は66名で、異議申し立てはなかったとの説明があった。議長から66名の入会について承認を求め、拍手をもって入会することが承認された。新入会員は登壇し、新会員を代表して東京都の角道亮介新会員から今後の抱負を含めた挨拶があった。 以上、顕彰及び表彰事案がすべて終了し、議長から総会資料の報告事項に戻るとの説明があり議事に移った。

報告事項

〈1〉2015年度事業報告

2.総会・大会・公開講座等、3.理事会等、4.年報・会報・機関誌等

佐藤宏之理事から総会資料にそって、総会・大会、理事会、刊行物についての一括報告があった。なお、2015年度に公開を予定していた協会公式サイトのリニューアルについては開設されたが、今後充実させていくとの説明があった。

5.陵墓報告

新納泉理事から、陵墓は関連する16学協会との連携事業との説明があり、主な活動である宮内庁との懇談、陵墓立会調査、立入り観察等について報告があった。また、新聞発表の段階として、本年3月28日付の毎日新聞に「歴代の天皇や皇族の陵墓の保全管理に伴う調査について、宮内庁は28日、単独で実施してきた前例を転換し、新年度から陵墓のある自治体の教育委員会や考古学研究者に協力を要請する方針を示した。調査の成果は、地元教育委員会と共同で発表し、広く国民に伝える」との記事を紹介した。

6.研究環境検討委員会報告

篠原和大理事から委員会の活動目的として、研究環境、埋蔵文化財調査の資格制度、国内外における経済活動が考古学的調査に及ぼす影響、博物館における考古学資料の保護、考古学の教育環境と後継者育成に関する旨が説明された。このうち後継者育成問題では、考古学、文化財に関する授業を開講している大学を対象に実施したアンケートの分析を、ポスターセッションや奈良大会の分科会Ⅲ「大学教育と文化財保護」との連携事業で意見交換を行ったとの報告があった。

7.広報委員会報告

小川望理事から鹿児島県南九州市で開催された協会主催の公開講座への参加を通して、公開講座のあり方やその方向性について検討したことが報告された。委員会では協会の活動をどのように発信していくのか、また、ホームページの運用管理、マスコミ等の問い合わせへの対応、また、協会声明等の発信に関する諸問題を検討する中で、マニュアル化を進めていくことが望ましいとの報告があった。

8.国際交流委員会報告

橋本裕行理事から、2015年度は第9回アジア考古学四学会合同講演会として「アジアの鉄」をテーマに開催し多くの参加者があったと報告された。世界に日本の考古学調査の情報を発信する事業では、発掘された日本列島展に紹介された9遺跡を選んで、英訳をホームページ上に掲載した。また、今年8月に開催される世界考古学会議京都大会での日本考古学フェアの準備活動について報告があった。

9.社会科・歴史教科書等検討委員会報告

釼持輝久理事から活動内容として、考古学の研究成果を小学校や中学校の教科書、歴史教育に適切に活用されるよう、教科書や学習指導要領について検討をしているとの説明があった。2015年度は小学校の学習指導要領の改定に対する要望という趣旨で総会時のポスターセッションを、奈良大会では弥生時代と古墳時代をテーマにしたポスターセッションを実施し、教科書通信第13号を配布して会員等に委員会活動の理解を求めたとの報告があった。

10.埋蔵文化財保護対策委員会報告

馬淵和雄理事から事業活動についての説明があり、総会資料に沿って要望書、幹事会・研修会・情報交換会の報告があった。要望書については、4件の要望書提出と10件の回答について報告があった。また、本委員会が全国の委員に対して実施したアンケート調査結果を取りまとめているとの説明があった。

11.東日本大震災対策特別委員会報告

渋谷孝雄委員長から2015年度復興調査の成果報告会では多くの参加者があり、被災した地域住民が歴史や文化に高い関心を寄せたとの報告があった。また、被災3県の聞き取り調査では、特に原発被災地での中間貯蔵施設に関連する埋蔵文化財調査が異例の調査体制を必要とするとの説明があった。3月3日の文化庁との協議では2016年度以降の人的な支援と財政負担の軽減、担当職員の健康状態へ配慮等を要望したことが報告された。

12.協会所蔵図書に係る検討小委員会報告

白石浩之副会長から、一括寄贈図書の登録状況と現在公開されている寄贈図書の検索方法についての説明があり、今後、入手しにくい報告書、逐次刊行物等図書の寄贈を改めてお願いした。なお、総会時の受入図書については、本年度から再開するに当たり協力を求めた。また、本小委員会は解散する予定であるが、理事会に担当理事を置き、必要があれば会合を開き対応することを報告した。

13.諸規則・規定等見直し検討会報告

石川日出志副会長から、定款および規則の改正に伴い、すべての規定、内規等の整備を行い、このうち新たに規定を定めた賛助会員については、昨年度総会では会員間で様々な意見があると想定し、会報で規定条文を提示して意見を募ったが、会員からの意見はなかった。さらなる検討を行い、来年1月の理事会で決定する予定であるとの説明があった。

〈2〉2016年度事業計画

佐藤宏之理事から、総会資料に沿って2016年度事業計画の一括説明があった。総会は東京学芸大学、大会は2016年10月15日から17日まで弘前大学で開催を予定し、アジア考古学四学会合同講演会は2月開催、年報・会報・機関誌等の刊行物は、例年どおりとし、英文機関誌『Japanese Journal of Archaeology』(以下、JJA)は年2巻の発行を予定との説明があった。

〈3〉2016年度予算について

大谷敏三理事から予算書にそって、2016年度予算案が説明された。主な内訳は収入の部で会費収入41,380,000円、科学研究費補助金2,500,000円、書籍販売等の雑収入2,695,000円、合計46,578,000円と前期繰越収支差額2,313,000円を加えた収入合計48,891,000円が予算額となり、前年度対比では1,894,000円の減との説明があった。支出の部は事務局人件費通勤手当10,768,000円、雑給2,196,000円、退職共済掛金240,000円、法定福利費1,658,000円、外注費4,500,000円、内JJA公式サイト制作管理費800,000円、旅費交通費9,131,000円、通信運搬費2,690,000円、賃借料482,000円、消耗品費722,000円、支払手数料2,228,000円、家賃2,631,000円、印刷製本費9,306,000円、予備費としては734,000円を計上し、当期支出合計は48,891,000円で、収入合計から支出合計を引いた当期収支差額は、2,313,000円のマイナスとの説明があった。東日本大震災関係予算は、終了報告書の作製費等として795,000円を計上したと説明があった。
議長から予定の議案はすべて終了したが、理事会から報告事項〈4〉その他について、「文化財に関する諸問題検討会報告」、「高尾山古墳の保存・活用に関する協力について」の追加議案を認め議事とした。

〈4〉その他

1.文化財に関する諸問題検討会報告

大竹憲昭理事から検討会の趣旨と検討課題の説明があり、特に流出文化財の問題は、個人の所有権、または国際問題にも触れるなど難しい問題であるため検討会では、身近な事例を通して勉強会を行っていることが報告された。

2.高尾山古墳の保存・活用に関する協力について

篠原和大理事から高尾山古墳の保存・活用に関する問題について、昨年の総会での会長声明とその後の沼津市との経緯について説明があり、こうした中で沼津市から高尾山古墳整備のための寄付、ふるさと納税の働きかけについての協力を求める依頼があったことが報告され、本年度の総会に沼津市の会員が協力の呼び掛けを行うとの説明があった。
ここで、すべての報告事項が終了し、議長は一括で質問を求めた。
京都府の山田邦和会員から著作権規定について、著作権の規定を持つ学会は多いが、著作権は著者に帰属し、学会は使用権を持つ場合が多い。今後、規定案を見直す考えはあるか、また、規定案の附則についても条文を再検討する余地があるかとの質問であった。
議長は石川副会長に説明を求め、石川副会長は 理事会も使用権に限るとすると理解し、著作物の保護を協会が責任を持つ規定であると回答した。附則の条文については、著者からの申し出があった場合には認めるとの説明を行った。山田会員はその説明では納得しないが、時間もないので改めて意見を述べる場を持ちたいとの提案があった。石川副会長も、正確を期すため書面でご意見をいただき、議論を深めたいと回答した。
議長は引き続き質問を求め、東京都の五十嵐彰会員から、協会では常置委員会・小委員会以外にどのような委員会や検討会があるのか質問があった。また、五十嵐会員から委員会の組織図をホームページに掲載していただきたいとの要望があり、佐藤理事から掲載するとの発言があった。 議長は質疑を打ち切り報告事項の一括決議を行い、拍手をもって承認され、引き続き審議事項に入った。

審議事項

〈1〉2015年度決算承認の件

大工原豊理事から、決算資料の貸借対照表から当年度の協会資産額は48,134,596円との説明があり、資料6の正味財産増減計算書にそって、当年度の経常収支合計額46,800,724円のうち、前年度比の増減は、外注費約1,230,000円の増、旅費交通費は約969,000円減、賃借料606,527円減、印刷製本費は2,633,556円増となり、決算額は49,028,095円で、当期経常増減額の2,227,371円は繰越金であるとの説明があった。資料7の東日本大震災募金特別会計は、決算額は365,761円で、2015年度決算をもってすべての募金額が精算されたことが報告された。
次に議長から監査報告が求められ、吉田哲夫監事からは、監査報告書の説明があった。
監事から監査の職務は理事会の事業全般を監査対象にしていると説明があり、5月13日、関連書類を検査し、理事の職務の執行に関する不正な行為、または法令もしくは定款に違反する重要な事実は認められず、また、計算書類および付属明細書の監査結果、計算書類およびその付属明細は、本会の財産状況および損益の状況全ての重要な点において、適正であるとの報告があった。
議長は審議事項〈1〉の2015年決算承認の件について質問を受けたが、質問はなく、直ちに決議に入り、拍手をもって原案どおり承認された。

〈4〉理事選挙結果報告並びに承認

清水信行選挙管理委員長から2016年4月2日開票の選挙結果が報告された。今回、立候補者数は22名で1名欠員があった。有権者数は4,183名で、投票した会員は1,026名、投票率は24.5%であった。有効投票は8,379票で、立候補者の得票数が8,144票。非立候補者への投票数は235票であった。開票の結果、立候補者22名全員が当選し、氏名と投票数が読み上げられた。欠員1名は非立候補者で最多得票の石川日出志会員、次点は白石浩之会員と決定した。議長は報告の当選者及び次点者について承認を求めたところ、拍手をもって承認された。

〈5〉監事の選出について

石川日出志副会長から白井久美子監事と吉田哲夫監事の任期満了に伴う監事の選出として、埼玉県の吉田哲夫会員、群馬県の唐澤至朗会員の推薦があった。監事の職務は理事会の全体の事業を監督する必要から2名が同時に退任する事態を避けるため吉田会員を重任とし、唐澤会員は理事経験者として推薦したとの説明があった。議長から質問を求めたが質問はなく、直ちに監事の選出について諮ったところ原案どおり拍手で承認された。

〈6〉その他

1.平成28年熊本地震対策特別委員会設置について

宮本一夫理事から、4月14日に発生した熊本地震が与えた人的被害をはじめ文化財および文化財関連施設への被害は深刻であり、早急に支援対策を行う必要があるため、「平成28年熊本地震対策特別委員会」の設置が提案された。また、提案に至る経緯は、4月23日の理事会で、平成28年熊本地震対策特別委員会の準備会を設置することを決定し、熊本県における被災会員の安否確認と被災文化財関連施設に関する情報の収集を行った。5月25日には熊本県教育庁文化課、熊本市文化振興課埋蔵文化財調査室での協議を行い、復興に伴う埋蔵文化財の調査体制や予算措置の整備が必要と判断された。そこで、5月27日の理事会にて、本日の総会において平成28年熊本地震対策特別委員会の設置を提案することを決定した。特別委員会の目的については「平成28年熊本地震対策特別委員会設置要綱(案)」のとおりで、被災会員の支援ならびに被災文化財、文化財施設等の救済や取り扱いに関する諸活動が説明された。なお、委員の選任については、準備会委員を主体に考えているとの説明であった。
議長は提案に対する質問を求めた。
神奈川県の御堂島正会員から特別委員会の設置要綱の書面体裁に不統一な記載があるので訂正するよう指摘があり、宮本理事から訂正するとの発言があった。次に岡山県の富岡直人会員から賛成する意見とともに、理事会に災害に対応する文化財防災関係の委員会を設置する旨の提案があった。これに対して宮本理事から阪神淡路、東日本大震災と大規模災害に取り組んできた経緯があり、災害に関する委員会を設置する方向で議論していると回答した。
次に熊本県の杉村彰一会員から改めて特別委員会設置を賛成する意見があった。
議長は質疑を打ち切り、平成28年熊本地震対策特別委員会設置の決議を行い原案どおり承認された。
以上をもって、2016年度第82回総会の議案はすべて終了し、閉会にあたり白石浩之副会長から挨拶があった。(午後0時40分)

2015年度事業報告

1.日本考古学協会賞の報告並びに承認、表彰
2.総会・大会・公開講座等
(1)総  会 2015年5月23・24日 於:帝京大学
(2)大  会 2015年10月17・18・19日 於:奈良大学
(3)公開講座 2016年3月19日 於:ミュージアム知覧
(4)アジア考古学四学会合同講演会 2016年1月9日 於:明治大学
3.理事会等

(1)理事会 2015年4月25日 (協会事務所、以下特に記載のないものは同じ)、5月22日(帝京大学)、 7月25日、9月26日、10月16日(奈良大学)、2016年1月23日、3月26日
(2)監 査 2016年5月13日(2015年度事業及び会計監査)

4.年報・会報・機関誌等

(1)年 報 第66号(2013年度版) 2015年5月15日発行、第67号(2014年度版)編集
(2)会 報 No.185(2015年8月1日発行)、No.186(2015年12月1日発行)、No.187(2016年3月1日発行)
(3)機関誌 『日本考古学』第39号 2015年5月20日発行

『日本考古学』第40号 2015年10月17日発行

『日本考古学』第41号 編集

『Japanese Journal of Archaeology』Vol.3,No.1 2015年9月1日刊行

『Japanese Journal of Archaeology』Vol.3,No.2 2016年3月30日刊行

『Japanese Journal of Archaeology』Vol.4,No.1 編集

(4)公式サイトの更新

5.陵墓報告

(1)懇 談(2015年7月16日)
(2)見 学(2015年12月4日、2016年1月27日、1月29日)
(3)立入り観察(2016年2月26日)

6.研究環境検討委員会報告
7.広報委員会報告
8.国際交流委員会報告
9.社会科・歴史教科書等検討委員会報告
10.埋蔵文化財保護対策委員会報告

(1)委員会等
委員会:2015年5月22日(帝京大学)
幹事会:2015年4月18日(協会事務所、以下特に記載のないものは同じ)、5月16日、6月20日、 7月18日、9月19日、11月21日、12月19日、2016年1月17日、2月13日、3月19日
情報交換会:2015年10月18日(奈良大学)
(2) 要望書等
〈要望書提出4件〉
2015年7月1日 埋文委第4号「宮城県栗原市入の沢遺跡の保存と活用に関する要望書」
2015年7月27日 埋文委第5号「那覇市首里高校内中城御殿跡の保存と活用についての要望書」
2016年1月8日 埋文委第8号「北九州市城野遺跡の保存と活用に関する再要望書」
2016年2月10日 埋文委第9号「三原市所在県指定文化財和霊石地蔵磨崖仏の保存に関する要望書」
〈回答10件〉
2015年7月15日 文第1064号 宮城県知事 村井嘉浩・宮城県教育長 髙橋 仁 「宮城県栗原市入の沢遺跡の保存と活用に関する要望について(回答)」
2015年7月16日 栗総第0716003号 栗原市長 佐藤 勇・栗原市教育長 亀井芳光 「宮城県栗原市入の沢遺跡の保存と活用に関する要望について(回答)」
2015年8月7日 教文第693号 沖縄県知事 翁長雄志 「那覇市首里高校内中城御殿跡の保存と活用についての要望(回答)」
2015年8月7日 教文第693号 沖縄県教育長 諸見里 明 「那覇市首里高校内中城御殿跡の保存と活用についての要望(回答)」
2015年8月13日 那市文財第164号 那覇市長 城間幹子 「首里高校内中城御殿跡の保存と活用についての要望書(回答)」
2015年8月13日 那市文財第164号 那覇市教育長 渡慶次克彦 「首里高校内中城御殿跡の保存と活用についての要望書(回答)」
2016年1月20日 福岡財審第15号 福岡財務支局長 森山茂樹 「北九州市城野遺跡の保存と活用に関する再要望について(回答)」
2016年1月21日 北九市文文第2610号 北九州市市民文化スポーツ局長 大下徳裕 「北九州市城野遺跡の保存に関する再要望に対する回答について」
2016年2月2日 北九市文文第2752号 北九州市市民文化スポーツ局長 大下徳裕 「北九州市城野遺跡の保存に関する再要望に対する回答の修正について」
2016年2月19日 三教委文第936号 三原市教育長 「三原市所在県指定文化財和霊石地蔵磨崖仏の保存に関する要望について(回答)」

11.東日本大震災対策特別委員会報告
12.協会図書に係る検討小委員会報告
13.諸規則・規定等見直し検討会報告

2016年度事業計画

1.総会・大会・公開講座等

(1)総  会 2016年5月28・29日     於:東京学芸大学
(2)大  会 2016年10月15・16・17日  於:弘前大学
(3)公開講座
(4)アジア考古学四学会合同講演会
(5)世界考古学会議第8回京都大会

2.理事会等

(1)理事会 年間8回(2016年4月・5月・6月・7月・9月・10月、2017年1月・3月)
(2)総務会 随時
(3)監 査

3.年報・会報・機関誌等

(1)年 報 第67号(2014年度版)2016年5月発行、第68号(2015年度版)編集
(2)会 報 No.188・No.189・No.190
(3)機関誌 

『日本考古学』第41号 2016年5月発行、『日本考古学』第42号 2016年10月発行、 『日本考古学』第43号 編集
『Japanese Journal of Archaeology』Vol.4,No.1 2016年9月刊行
『Japanese Journal of Archaeology』Vol.4,No.2 2017年3月刊行
『Japanese Journal of Archaeology』Vol.5,No.1 編集

(4)公式サイトの更新

4.組織

(1)入会資格審査

5.陵墓問題
6.研究環境検討委員会
7.広報委員会
8.国際交流委員会
9.社会科・歴史教科書等検討委員会
10.埋蔵文化財保護対策委員会

(1)委員会 委員会(2016年5月27日)・幹事会毎月1回・研修会1回・情報交換会1回
(2)要望書提出

11.日本考古学協会賞の選考
12.東日本大震災対策特別委員会
13.諸規則・規定等見直し検討会