第26回「コロナ禍のオンライン化と埋蔵文化財法人組織の活動」 松田直則

 コロナ禍のなか、各地で開催される研究会や会議はすべと言っていいほどオンラインになっています。全国の47法人が加入している全国埋蔵文化財法人連絡協議会(以下、全埋協)でも、総会や役員会、地域のブロック会議でもオンライン開催となりました。

 全埋協の総会では、インターネット掲示板を使用して実施したり、役員会ではオンラインミーティングでの開催でした。総会は、承認か非承認かの入力で、良いのか悪いのかわかりませんが、スムーズすぎるくらいの速さで議案の審議が行われました。

 高知県埋蔵文化財センターも、今年、九州・中国・四国ブロック会議の担当県だったため、当初の準備段階では対面での従来通りの開催を計画していましたが、新型コロナウィルスの第5波が押し寄せ、急遽オンラインで開催することになりました。オンラインでのWeb会議の開催に慣れていない私どもとしては、ホスト県としての準備や対応に追われ右往左往するばかりで、なんとかデジタル技術に長けている専門家の方に手伝ってもらいながら、ネット環境の整備や音声やカメラ設定などを行い無事開催にこぎつけることができました。会議のオンライン化は周辺でも進んできましたが、参加の度にweb会議後は何か実際の対面での会議に比べて物足りなさを感じつつ終了した感じがします。

 研究会等もオンライン開催が多くなり、ある人はオンラインの効能として、朝一で畑の草引きしてから学会のオンライン開催に参加できるとか喜んでいる人もいます。確かに私も、遠方で開催される研究会にはなかなか参加することができませんでしたが、オンライン開催だから参加できたということはありました。また、大学の先輩である教授が退官されるにあたって、東京にある大学の考古学研究会で最終講義をオンライン開催していただき、貴重な最終講義を高知に居ながら聞くことができました。このように、情報通信技術が進み、各地を繋ぐ会議や遠方での研究会にも参加できるようになりました。働き方としては、地方にいても仕事ができるというメリットもあり、我が高知県では移住も含めテレワークの推進に積極的です。 

 しかし、今回法人の会議や研究会のオンライン開催を経験して、メリット・デメリットを考えると複雑な思いが交錯します。会議では、対面で行うと初めての人には名刺交換をしながら挨拶し、何かしら雑談をして和やかな雰囲気で会議に臨めたりします。その後の懇親会でも、会議ではできなかった情報交換を地酒を酌み交わしながらたっぷりとすることができます。また、次の日は現地の発掘調査現場や博物館見学などにも行くことができる特典もあります。

 オンラインでは、確かに旅費を使わなくてすむし、会議時間の短縮にもつながりますが、対面開催の良さにはかないません。研究会などは、遠隔地で実施されてもオンラインで手軽に参加することができるメリットは有りますが、対面の場合は現地に苦労して足を運び、自らの足で遺跡に立って、その立地や出土遺物などを観察することが大切だと思っています。コロナが終息しても、おそらくこのオンライン化はさらに進行しリモート会議など多くなるとも想定できますが、古くさい私は、研究会などは味のある対面開催を願いたいと切に思います。しかしオンラインの良さも確かにあり、手間は掛かりますがオンラインと対面のハイブリッドな開催も…と欲張りなことを思ったりもします。 

 高知県埋蔵文化財センターでは、指定管理事業で展示や講座など体験型のイベントなども取り入れています。コロナ禍でも、密にならないフィールドワークも取り入れ山城や古墳や史跡へと遺跡巡りを実施しています。個人的な山城研究でも、お城好きの方々や専門家、時には著名人の方と土佐の山城や城館を散策し、コロナ禍でのストレスを発散して城郭考古学研究しながらオンラインの会議や研究会に参加しています。

 


城好き仲間と土佐久礼城跡散策

 


全埋協Web会議風景