埋文委ニュース 第87号
2025.12
日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員会
はじめに
本年度の日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員会(以下、埋文委)の情報交換会は、2025年10月26日(日)13時30分~15時30分に新潟医療福祉大学・第2講義棟Q104教室を会場として、23名(会場13名+オンライン10名)の参加を得て開催された。吉田広委員長による挨拶の後、開催地報告、そして各地の埋蔵文化財保護の状況等についての報告および情報交換が行われた。
1 開催地報告
「新潟県における最近の埋蔵文化財の状況について」橋本博文委員(新潟県)
橋本博文委員より、新潟県内の埋蔵文化財に係る下記の事項についての状況報告ならびに問題点や今後取り組むべき点等の指摘が行われた。
①村上市上野遺跡縄文焼人骨・盤状集積について
②柏崎市西岩野遺跡の原発被災時用避難道路の拡幅に伴う調査における弥生後期の大型掘立柱建物と大型竪穴建物の発見と今後の史跡指定・整備への期待について
③新潟市古津八幡山遺跡の追加指定地の範囲確認調査による成果について
④新潟市古津八幡山遺跡復元家屋の焼失事件と今後の対応(焼失住居のデータとの突合せ、今後の復元・整備のあるべき姿)について
⑤傾斜量図や赤色立体図、CS 立体図などの新手法を用いた古墳・前方後円墳の発見と今後の活用(害獣被害を避けた山城や高地性集落の発見)について
⑥燕市石港遺跡の大河津分水拡幅工事予定地の発掘調査における古墳時代居館関連遺構(柵列による方形区画を伴う建物群)と出土遺物(前期の外来系土器、中期以降の多量の須恵器、北方系の続縄文土器と石器、後期の木装頭椎大刀)について
⑦圃場整備に伴う上越市本長者廃寺遺跡の調査と検出された遺構(講堂と僧房と見られる基壇)や遺物(平瓦、丸瓦)から考える越後国分寺跡の可能性について
⑧佐渡市「佐渡島の金山」世界遺産登録関連状況(今後望まれる対応、佐渡金山労働者慰霊祭、相川郷土博物館の展示リニューアルによる内容の変化)について
⑨市町村合併による博物館施設の存廃・統合の状況と今後の課題について
⑩能登半島地震(新潟地震・中越地震・中越沖地震)による文化財及び博物館等の被害状況について
⑪多発する自然災害への対応-特に展示施設(重要文化財萬代橋の前身である出土木製橋脚)の立地問題-について
⑫津南町埋蔵文化財センターの開設への期待と今後の課題について
⑫長岡市立科学博物館での企画展『考古学者・小林達雄コレクション展』について
2 カフェ de 考古学2025開催報告
藤野次史担当理事より、8月9日(土)に開催された「戦争遺跡を考える─戦後80年をむかえて」(ミニシンポジウム)について、その概要が報告された
3 地域連絡会からの報告
(1)北海道・東北地区連絡会
梶原文子委員(福島県)より、メガソーラー開発に伴う埋蔵文化財保護問題が報告された
(2)関東甲信越静地区連絡会
大竹憲昭委員(長野県)より長野県の状況、谷川章雄会員(東京都)より東京都港区高輪築堤跡問題、小笠原永隆事務長(千葉県)より千葉県鴨川市嶺岡牧関連文化財保護問題・山梨県甲府市平瀬の烽火台問題についてそれぞれ説明があった。
(3)関西地区連絡会
馬淵和雄委員(神奈川県)及び足立佳代委員(栃木県)より、大阪府島本町水無瀬離宮跡問題の状況説明ならびに関連するシンポジウムの開催案内が行われた。
(4)中国地区連絡会
高田健一委員(鳥取県)より、広島県府中町下岡田官衙遺跡問題について、現状と今後の対応の説明があった。
(5)四国地区連絡会
吉田広委員長(愛媛県)より、徳島市徳島城跡および徳島県海陽町多良古墳群、松山藩主久松家墓所(東京都港区)の改葬に伴う出土遺物の収蔵の各問題の現状について説明があった。
(6)その他の地区
三好清超委員(岐阜県)より、岐阜県各務原市野口城跡の調査状況について報告があった。
今回の埋文委情報交換会は、昨年の島根大会に引き続き四年連続で対面とオンラインを併用し、活発な情報交換ならびに議論が行われた。今後もより多くの委員の交流を図っていきたい。 (小笠原永隆)