加古川市中道子山城の保存に関する要望書

埋文委 第8号
2017年2月2日


文化庁長官 宮田 亮平様
兵庫県知事 井戸 敏三様
兵庫県教育委員会教育長 高井 芳朗様
加古川市長 岡田 康裕様
加古川市教育委員会教育長 田渕 博之様


一般社団法人日本考古学協会
埋蔵文化財保護対策委員会
委員長 藤 沢 敦

加古川市中道子山城の保存に関する要望について

表記の件について、別添書類の如く、当該遺跡は学術上極めて重要な内容をもつもので
ありますので、貴殿におかれましては、適切な保存の対策が速やかに講じられることを要
望いたします。
なお、まことに恐縮ですが、当件の具体的な措置、対策については2017年2月17日(金)
までに、当協会埋蔵文化財保護対策委員会委員長宛に回答を下さるようお願いいたします。




一、別添書類 一通


以上



埋文委 第8号
2017年2月2日


文化庁長官 宮田 亮平様
兵庫県知事 井戸 敏三様
兵庫県教育委員会教育長 高井 芳朗様
加古川市長 岡田 康裕様
加古川市教育委員会教育長 田渕 博之様


一般社団法人日本考古学協会
埋蔵文化財保護対策委員会
委員長 藤 沢 敦


加古川市中道子山城の保存に関する要望書  

日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員会は、中道子山城主郭脇に計画されている無線
塔建設に強く反対します。
中道子山城は、中世後期から戦国時代にかけての播磨国を代表する山城です。国史跡置
塩城と並ぶ、守護赤松氏による東播磨支配の拠点と位置づける説もあります。山麓からの
比高約250m、周辺の主要城郭を眼下に望む眺めは、「遠見の城」と呼ばれるように、本城
がこの地方の中心的な地位にあることをよく表しています。山上の主要遺構にほとんど損
傷はなく、土塁・切岸・虎口・横堀などが往時の姿を良好にとどめています。土塁の基底
部に設けられた石垣は、城郭に石垣が用いられる初期の事例として、学術的価値はきわめ
て高いものです。播磨の地域史のみならず、戦国期の城郭を研究する上で全国的にも重要
といえるでしょう。
本無線塔の予定地は、主郭とされる郭直下の腰郭部分です。事前調査で発見された石積
み遺構やピットは、城を構成する建造物の一部である可能性があり、無線塔建設によって
これら遺構が破壊されることは大きな問題と考えます。加えて無線塔により、城跡からの
北・西部分への眺望は遮られ、中道子山城の存在の根幹をなす「遠見の城」という意義が
大きく失われ、同時に城跡全体の景観も損なわれます。
以上のことから、日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員会は、下記の通り要望いたし
ます。



1.中道子山城における無線塔の建設の撤回を指導すること。
2.城跡の正確な範囲と構造を確認し、国史跡指定を視野に入れた保存措置を講じること。


以上