2004年4月19日
文化庁長官 河合隼雄 様 兵庫県知事 井戸敏三 様 兵庫県教育長 武田政義 様 芦屋市長 山中 健 様 芦屋市教育長 藤原周三 様
標記の件について、別添書類の如く、当該遺跡は学術上きわめて重要な内容をもつものでありますので、貴殿において、その保存の対策を速やかに講ぜられることを要望いたします。
なお、当件の具体的な措置、対策については5月17日(月)までに、ご回答を下さるようお願いいたします。
一、別添書類 一通
以上
文化庁長官 河合隼雄 様 兵庫県知事 井戸敏三 様 兵庫県教育長 武田政義 様 芦屋市長 山中 健 様 芦屋市教育長 藤原周三 様
兵庫県芦屋市岩園町5番地ほかに所在する八十塚古墳群及び徳川大坂城東六甲採石場等は、埋蔵文化財包蔵地として芦屋市の遺跡分布地図にも、周知の遺跡として登載されています。
八十塚古墳群は6世紀後半から7世紀にかけて形成された群集墳で、六甲山地南麓における代表的な古墳時代後期の古墳群です。さらにこの地域には、徳川大坂城東六甲採石場岩ヶ平刻印群の刻印石や加工痕を残す矢穴石も数多く分布しており、近世城郭史と密接に関連する生産遺跡として、考古学的にも極めて重要な遺跡として認識されています。
この遺跡の範囲内で、現在2万平方メートルに近い宅地開発が民間業者によって計画されています。事業計画地内に重要な埋蔵文化財が存在することで、芦屋市教育委員会が開発事業者と遺跡の取り扱いについて協議しておりましたが、事業者側は事前協議中に造成工事に着手し、大量の土砂搬入による土盛り等で遺跡の現状を大きく改変してしまいました。協議中にもかかわらず、文化財保護法で定められた発掘届出書の提出がないままに、市当局の行政指導を無視して土地改変を行った行為は、決して看過することはできない問題と考えます。遺跡の取り扱いをめぐる市当局と事業者の協議は難航しており、このままではその歴史的・文化的価値が明らかにされることもなく、遺跡が破壊されてしまうという危惧が持たれます。
以上のことから日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員会は、国民的遺産である遺跡の保護・活用の観点から、下記の通り要望いたします。
以上