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【2004年12月1日発行 会報No.153,p.7掲載】
本特別委員会は、去る5月22日(土)の2004年度総会において、ほとんどの検証作業を終えたとして解散を宣し、承認されたところであるが、若干の課題を残していた。
総会における報告中で、群馬県加生西、同中山峠、同下川田入沢、同赤根峠については関矢晃会員から検証結果の報告があり、捏造と判断されたことを伝えたが、群馬県入ノ沢および同桐原についてはこの時点では検証作業は終了していなかった。
入ノ沢については関矢晃会員より、6月1日付けで群馬県教育委員会に捏造の可能性が高いという検証結果の報告があり、県教委より本特別委員会に検証結果の確認が求められた。8月19日、元特別委員会委員の矢島國雄会員および齋藤靖二氏により、石材鑑定を含めた確認を行い、関矢晃会員の検証結果を追認した。
桐原についても、2004年9月3日付で、桐原遺跡調査団より『群馬県山田郡大間々町桐原遺跡の調査概要報告』が刊行され、県教委に送付された。同調査団の検証結果も捏造を裏付けるものであった。
以上の検証作業をもって、藤村新一元会員の関与した遺跡の検証はすべて終了した。
特別委員会の活動も3年目となった2003年度は、5月に検証活動の報告書として『前・中期旧石器問題の検証』を刊行し、ほとんどその活動の所期の目的の大半を果たすことができたが、海外に向けての説明責任および今後の研究展望の開拓の仕事が残されていた。海外向けの報告は2004年度3月末から4月初にカナダで開催されたアメリカ考古学会にシンポジウムを組むことで実現し、今後の研究展望に向けては、自然科学分野との共同的な研究のあり方を探る討論集会をもつことができた。
なお、今後に残された課題は多いとはいえ、特別委員会を存置して進める課題というよりは、協会、考古学研究者、とりわけ旧石器研究者の研究姿勢の問題であり、意図的で前向きな改善と課題開拓、研究推進によるべきものと考え、本特別委員会の役割は終わったものと判断され、本年度総会にその解散を提起した。検証活動にかかわる残余の課題としては、将来における再検証の機会を保証するとともに、考古学史研究上の要請に応えることができるよう捏造石器の確実な保管を関係機関に対して求めることが残されている。