やっぱり熊本市二軒小屋古墳の玄室石材も落下していました

理事の杉井です。

 

平成28年熊本地震のあと、文化財の被災状況を個人的に見て回っていました。

 

発災から約2ヶ月後、熊本市の二軒小屋古墳(未指定)を訪れたとき、羨門の向かって左側の積石が崩れていることを確認しました。このことは『九前研通信』第33号に写真付きで報告しました。

そのなかでも書いておいたのですが、玄室の石屋形の上に見慣れない石材があるのでそれも地震で落下したものなのかもしれない、と気になっていました。でも、先の訪問のときには、雨後の霧が玄室内にかかっており、十分に確認できませんでした。

 

そして発災から1年8ヶ月後の今日(12月13日)、ふたたび二軒小屋古墳を訪れました。来週、韓国からのお客さんを案内するので、その下見と古墳までの道を造っておくことが主目的。そのついでに、ずっと気になっていた例の石屋形上の石材、および壁体の積石をじっくり観察することができました。

 

やはり、壁体から落下した石材でした。
壁体の落下箇所を特定することもできました(写真参照)。

 

とはいえ、熊本地震の揺れによって落下したのかどうかは、厳密には確定できません。しかし、発災後約2ヶ月目に訪れたときに気付いた点を最大限に評価すれば、やはり、地震による落下である可能性が高いのではないでしょうか。

 

たまたま石屋形の上という通常あるはずのない場所にあった石材だから、地震による落下を疑うことができたのですが、地震以前から二軒小屋古墳の玄室床面にはおびただしい数の石材が散らばっています。

 

そうした石材のなかに、地震で落下したものはないのでしょうか。
その確認は、地震前の写真と現在の壁体とを目視で比べていくことでしか達成できません。

未指定の古墳でありますから、熊本市の職員の方も、なかなか業務では確認作業を行うことができないと思います。

 

地震による文化財被災状況の確認、そして被災箇所の特定はとても難しい、、、
それをあらためて実感した今日の午前でした。

 

熊本市二軒小屋古墳 玄室石材 落下状況1

熊本市二軒小屋古墳 玄室石材 落下状況2