理事の杉井です。
3月の初旬になり、ようやく寒い季節を脱しつつあるようです。
昨日は25度近くにも気温が上がりました。
さて、2018年3月4日、熊本県御船町にある小坂(おざか)大塚古墳で、復興調査の現地説明会が行われました。
小坂大塚古墳は熊本地震による被災古墳の1つで、墳丘にいくつかの亀裂が入っています。
しかし、今回の発掘調査は、墳丘周囲に再建が予定されている施設の建設予定地に対して実施されました。
ぽかぽか陽気のなか、100人を超える方が集まって下さり、熱心に見学されていました。
調査で検出された周溝のなかを歩くコースでの説明が行われていて、見学された方は周溝内から見上げる古墳の大きさを実感されたのではないでしょうか(写真1・2)。
説明されていたのは、復興調査のために他県から支援にきて下さった方々。本当にありがたく、頭が下がる思いです。
小坂大塚古墳は甲胄出土古墳として、古墳時代研究者にはよく知られた存在でしたが、地域の方々には、こんもりとした高まりがあるなあ・・・という程度にしか知られていなかったかもしれません。
ですが、今回の調査において、直径が50mを超える円墳であることが明らかとなりました。その規模は5世紀初頭では熊本県南で最大となります。
復興調査において、古墳の価値が再認識され、地域の誇りとして地元の皆様に認知されたとすれば、とてもうれしく思います。
地震被災、そして長きにわたる復興過程のなかにおいて、明るい話題として地元の皆様の心に刻まれるのではないでしょうか。
写真1・2は、その現地説明会の様子。
周溝のなかを皆さん、歩いておられます。
写真3は、GoogleEarthをキャプチャしたもので、地震発生前の小坂大塚古墳が写っています。赤線で囲った範囲の建物が地震で被害を受け、再建される予定です。
写真4は、地震発生から約1ヶ月後の5月22日の墳丘の様子。亀裂がみられます。
墳丘については、奈文研によるレーザー探査が行われていて、今後、どうすべきか検討される予定です。
写真5は、被害を受けた建物が撤去され、更地になったときの様子。2017年6月18日の撮影です。
写真6は、今回の調査地の空撮写真。台地の上に築かれている古墳の立地、そして周溝の大きさがよくわかります。
写真7・8は現地説明会資料。コンパクトにまとめられた、とてもわかりやすい資料です。