埋文委 第11号
2022年1月21日
文化庁長官 都 倉 俊 一 様
高知県知事 濵 田 省 司 様
高知県教育長 伊 藤 博 明 様
安芸市長 横 山 幾 夫 様
安芸市教育長 藤 田 剛 志 様
一般社団法人日本考古学協会
埋蔵文化財保護対策委員会
委員長 藤 沢 敦
安芸市瓜尻遺跡および周辺遺跡の保存と活用に関する要望書の送付について
標記の件について、別添書類のように、当該遺跡は学術上きわめて重要な内容を有するものであり、貴職におかれましては、適切な保存の対策が講じられることを改めて要望いたします。
なお、まことに恐縮ですが、当件に係る具体的な措置および対策につきまして、2022年2月28日(月)までに、当協会埋蔵文化財保護対策委員会委員長宛にご回答を下さるようお願いいたします。
記
1 提出書類
別添のとおり 1通
埋文委 第11号
2022年1月21日
文化庁長官 都 倉 俊 一 様
高知県知事 濵 田 省 司 様
高知県教育長 伊 藤 博 明 様
安芸市長 横 山 幾 夫 様
安芸市教育長 藤 田 剛 志 様
一般社団法人日本考古学協会
埋蔵文化財保護対策委員会
委員長 藤 沢 敦
安芸市瓜尻遺跡および周辺遺跡の保存と活用に関する要望書
古代寺院に隣接し、内部に大型井戸を擁する方形区画遺構と船着場を備えた運河、多くの掘立柱建物群が出土した瓜尻遺跡について、土佐国の安芸郡衙形成に深く関連した在地豪族の姿を彷彿させる7世紀に遡る官衙関連遺跡として、日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員会では、国史跡として全面保存すべき重要遺跡であると評価いたしました。そして、その重要性に基づき、先の要望書「埋文委第12号」を提出し、開発事業計画の見直し・現地保存を含めた遺跡保護の検討を求めました。
安芸市にておかれては、安芸市瓜尻遺跡調査指導委員会を設置して「遺跡の重要性と価値」を検討し、瓜尻遺跡の重要箇所を現地保存するよう、学校建設計画の一部を変更されたことに、私共は敬意を表します。その一方で、先の保存箇所の周囲には運河や古代寺院に関連する重要遺構の広がることが貴市の実施した発掘調査において明らかとなり、今回の学校建設により、そうした遺構が記録保存とともに消失することに、遺憾の念を禁じ得ません。
このような現況に対し、瓜尻遺跡の現状での保存範囲に加え、周辺の古代寺院を始めとした重要遺構を、今後的確に保存していくことが急務の課題ととらえています。そのためには、遺跡の範囲や具体的内容を継続して把握・確認していくことが必要であり、将来の遺跡活用と合わせて重要と考えます。
以上のことから、一般社団法人日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員会は、安芸市瓜尻遺跡および周辺遺跡の保存・活用のために、以下の通り要望します。
記
1. 保存範囲および周囲の重要遺構について、学校建設工事及び周囲の付帯工事範囲を含め、情報開示と適切な指導を得て、現地保存に万全を期すこと。
2. 今後、遺跡の活用に向け、速やかな発掘調査報告書の刊行と周辺遺跡の確認調査および、国の史跡化等に向けた調査を継続できる埋蔵文化財保護の体制を確立すること。