2020(令和2)年4月、(公財)かながわ考古学財団の会議室で、発掘等業務の休止が決定された。緊急事態宣言が発出され、コロナそのものの情報も未だ少ないなかで、安全を優先した。事業者等の了解は得たものの、休止の間の賃金や手当はどうするか等をはじめとした、調整案件は山積し、いつ再開できるのかも不透明な状況であった。
後に一部の法人へコロナ禍での取り組みについて問い合わせをしてみたが、完全に休止した法人は無かったようだ。
パンデミック、クラスター、ソーシャルディスタンスなどカタカナ言葉が多用され、3密は2020年の流行語大賞となり、最近はオミクロン株、ブースター接種などが話題となっている。言葉に馴染むまでが大変であったことを思い起こす。2022年1月には全国の感染者数が増加しており、第6波という言葉も囁かれている。
発掘等業務再開からこれまでの間、毎日体温を測るという習慣も日常となり、休憩時間をずらしてプレハブ事務所内の対人空間を確保するといった工夫が必要になった。夏は暑いし冬は寒い発掘現場で活躍している調査員や作業員は、暑くてもマスクをつけて作業をし、寒くても寄り集まって作業ができないという、大変な時代になったことと思う。
職員会議は対面とWebex Meetingsによるオンライン併用開催のハイフレックス方式となり、会議等で定期的に会っていた職員との挨拶も「おー、久しぶりだね」に変わった。オンラインはその性質から、報告は得意であるが、議論することはやはりなかなか不得手である。
普及啓発活動は主要行事である遺跡見学会など、各場面で対面開催の機会が減った。その反面、職員による精力的な取り組みから、SNS発信(facebook・Twitter・YouTube)などを多用し、見学会も動画撮影をしてHPやYouTubeでオンデマンド配信ができた。また、遺跡発表会もHP上でオンライン開催を行い、誰でも好きな時間に見られるようにしている。視聴回数もまずまずである。
全埋協の関東ブロック協議会による関東考古学フェアスタンプラリーは、押印する巡回館数を減らして取り組んだ。そういった状況のなかで、各地の博物館等の協力も得て、今年度(2021年)が過去最高の応募者数となった。
感染症が流行っても、人はどこかで文化に触れることを欲し、心豊かに生きていくことを自然と目指しているのであろう。この一助を担うためにも発掘調査をきっちり行い、その成果や研究の開示を工夫して続けていく必要性が、こんなご時世だからこそ改めて感じられる。