理事の杉井です。
11月12日の日曜日、福岡県朝倉市を訪れました。
11~12日と筑後川中流域の古墳見学会(第43回九州古墳時代研究会)を実施したのですが、その終了後に訪問。
少しの時間でしたが、今年7月5日に発生した九州北部豪雨による文化財被害の一端を知ることができました。
朝倉市の文化財被害の状況については、10月の2017年度日本考古学協会宮崎大会で開催された埋蔵文化財保護対策委員会情報交換会でうかがっていました。
その報告を聞き、やはり自らの目で見ておかなければならないとの気持ちを強くしていました。
訪問できたのは、「堀川用水及び朝倉揚水車」と「普門院本堂」。
前者は国指定史跡、後者は国指定重要文化財となっています。
「堀川用水及び朝倉揚水車」の構成要素の1つである「三連水車」に関しては、その被害の状況が新聞等でもさかんに報道され、また復旧されたことも報道されていたので、おおよその状況は知っていました。
写真1がその「三連水車」の様子。
観光客が戻ってきていることを知ることができました。
でも、周囲の畑にはまだ土砂が堆積したままのところもあって、水害の爪痕を感じながらの見学でした。
写真2は「普門院本堂」。
土石流が境内に流れ込み、建物への直接の被害はなかったそうですが、土砂が床下に流入したとのこと。
境内を歩くと、土石流の後片付けが各所でなされており、おそらく被災した当時のままの石橋の欄干を見ることができました(写真3)。
写真4は、普門院から山を下ってきたところを流れる北川河岸の現状。
川面の土砂は除去されつつありましたが、家屋を埋める土砂はまだ残されたままでした。
その砂に埋まる家屋を見て、直下型地震による被災の仕方と土石流による被災の仕方の違いに、ハッとさせられました。
東日本大震災の津波による被災地を歩いて、原発事故による避難区域を歩いて、熊本地震を経験して、そして今回、朝倉市を訪問して、災害の種類によって文化財が受ける影響もさまざまであることにあらためて思いが至りました。
どのようにして災害から文化財を守るのか。
その難しさを痛感しながら、夕暮れの朝倉市をあとにしました。