2004年9月1日
文化庁長官 河合隼人 様 兵庫県知事 井戸敏三 様 兵庫県教育長 武田政義 様 芦屋市長 山中 健 様 芦屋市教育長 藤原周三 様
標記の件について、別添書類の如く、当該遺跡は学術上きわめて重要な内容をもつものでありますので、貴殿において、その保存の対策を速やかに講ぜられることを要望いたします。
なお、当件の具体的な措置、対策については9月21日(火)までに、ご回答を下さるようお願いいたします。
一、別添書類 一通
文化庁長官 河合隼人 様 兵庫県知事 井戸敏三 様 兵庫県教育長 武田政義 様 芦屋市長 山中 健 様 芦屋市教育長 藤原周三 様
兵庫県芦屋市岩園町5番地ほかに所在する徳川大坂城東六甲採石場では、芦屋市教育委員会により実施されている確認調査と本調査により、注目すべき新たな知見が数多く明らかとなってきました。
開発予定地全体にわたり、徳川大坂城所要石材の矢穴石やコッパ・刻印石が分布しており、作業場と考えられる平坦地も随所に確認されております。また、採石の工程が明瞭に把握され、刻印石によって各藩の採石領域等も確定出来るようになってきました。とくに防災工事が計画されている谷筋部では、作業工程を復元できるような状態で矢穴石や割石が数多く発見されており、谷筋部を利用した石材の集積・搬出ルートの想定も可能となっております。こうした知見は、これまで小面積の調査に頼ってきた東六甲採石場の歴史的認識を、飛躍的に高める重要な発見です。
特別史跡大坂城を理解するためには、本遺跡を含め築城にかかわった諸遺跡を一体として把握すべきであると考えます。しかしながら今回の調査は、兵庫県教育委員会の指導によって限定的な範囲にとどまっており、遺跡の性格を考慮すると甚だ不十分なものと判断せざるを得ません。採石場の全容とその実体を解明するためには、更なる本格的な発掘調査が必要不可欠と考えられます。
以上のことから日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員会は、徳川大坂城東六甲採石場の重要性と保護・活用の観点から、下記の通り再要望いたします。