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機関誌『日本考古学』編集委員会
刊行物
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2021年10月25日発行 96p ISSN 1340-8488 ISBN 978-4-642-09403-0

論 文岩瀬彬北方系削片系細石刃石器群の石器使用と遺跡間変異―群馬県八ヶ入遺跡の石器使用痕分析
論 文米田穣・中沢道彦・田中和彦・高橋陽一長野県七五三掛遺跡出土人骨の同位体分析で示された、縄文時代晩期後葉の雑穀栽培を伴う低水準食料生産
論 文阿部芳郎・栗島義明・米田穣縄文土器の作り分けと使い分け―土器付着炭化物の安定同位体分析からみた後晩期土器の器種組成の意味
書評辻誠一郎畑博己著『縄文時代の植物利用と家屋害虫―圧痕法のイノベーション』
書評佐藤宏之上峯篤史 訳編著 Are Tsirk原著『石の目を読む:石器研究のための破壊力学とフラクトグラフィ』
書評青木敬菅谷文則『甦る法隆寺 考古学が明かす再建の謎』
書評小田静夫秋道智彌・印東道子編著『ヒトはなぜ海を越えたのか―オセアニア考古学の挑戦―』
発信者
埋蔵文化財保護対策委員会
回答内容

令和3年10月22日

一般社団法人日本考古学協会
 埋蔵文化財保護対策委員会
  委員長 藤 沢  敦 様

 

港区教育委員会    
教育長 浦 田 幹 男

 

高輪築堤の一般公開拡充を求める要望書について(回答)

 

 平素から港区政に御理解・御協力をいただき、厚く御礼申し上げます。
貴委員会から提出されました高輪築堤の一般公開拡充を求める要望書について回答します。

 港区教育委員会は、東日本旅客鉄道株式会社と連携して、令和3年1月から9月にかけて現地見学会を開催し1,103人が、また、5月には、小中学生向けの現地見学会を開催し764人が参加しました。

 このほか、日本考古学協会様をはじめ、学術団体、学識経験者、文化財行政関係者等からの現地視察の御要望には、随時対応してまいりました。

 高輪築堤の一般向け現地公開の拡充については、新型コロナウイルス感染症の感染状況や現場の工事の状況を考慮しながら、必要な感染症対策と安全確保を徹底した上で、一人でも多くの方が見学する機会を持てるよう、引き続き、東日本旅客鉄道株式会社に協力をいただけるよう働きかけてまいります。

 御理解のほど、よろしくお願い申し上げます。

 

 

 

担当 図書文化財課文化財係  加藤
    港区白金台4-6-2  ゆかしの杜
  電話 03-6450-2869     

掲載開始日
発信者
埋蔵文化財保護対策委員会
要望書の内容

埋文委 第6号
2021年10月14日

 

文化庁長官 都倉 俊一 様
東京都教育委員会教育長 藤田 裕司 様
港区教育委員会教育長 浦田 幹男 様
東日本旅客鉄道株式会社 代表取締役社長 深澤 祐二 様

 

一般社団法人日本考古学協会
埋蔵文化財保護対策委員会
委員長 藤沢  敦

 

高輪築堤跡の一般公開拡充を求める要望書の提出について

 

 

 標記の件について、別添書類のように、高輪築堤跡の一般公開を大幅に拡充することを要望いたします。

 なお、まことに恐縮ですが、当件に係る具体的な措置および対策につきまして、2021年10月29日(金)までに、当協会埋蔵文化財保護対策委員会委員長宛にご回答を下さるようお願いいたします。

 

 

1 提出書類
  別添のとおり 1通


文化庁長官 都倉 俊一 様
東京都教育委員会教育長 藤田 裕司 様
港区教育委員会教育長 浦田 幹男 様
東日本旅客鉄道株式会社 代表取締役社長 深澤 祐二 様

 

一般社団法人日本考古学協会
埋蔵文化財保護対策委員会
委員長 藤沢  敦

 

 

高輪築堤跡の一般公開拡充を求める要望書

 

 「品川開発プロジェクト」にともなう事前の発掘調査において検出された高輪築堤跡については、日本の近代化を具体的に物語る存在であり、世界史的に見てもアジアの近代化の過程を示す上で欠くことのできないまことに重要な遺跡です。これまで日本考古学協会では、埋蔵文化財保護対策委員会の要望書を皮切りに、2回の会長声明と、3回にわたる会長コメント、日本歴史学協会との共同要望を発出し、一貫して築堤の全面保存を求めてまいりました。しかしきわめて遺憾ながら、一部保存・一部移築・大半は記録保存して破壊という方針のもと、記録保存にともなう調査が進んでいます。

 私たちは、高輪築堤跡が全面保存されるべき重要な遺跡であり、現地保存される範囲を少しでも広げていくことが必要であると考えています。それと同時に、調査で明らかとなった遺構を一般向けに公開する機会が、これまでごくわずかな範囲に限られていたことに強い危惧を持っています。

港区立郷土歴史館のホームページの、高輪築堤跡に関する「経過」に、現地見学会の開催状況が明記されています。一般向けの現地見学会は、7回、のべ11日間おこなわれています。しかし、その多くは対象を地元関係者、区民、小・中学校向けに限定しており、対象を限定しない見学会は、2回、4日間だけです。しかも、これらの見学会では、新型コロナ感染症への対策のため、参加者の数を限定した措置がとられてきました。本年4月10日に開催された、4街区の一般向け現地見学会は、事前予約による定員制で行われ、300名にも満たない人数しか見学できませんでした。

新型コロナ感染症が広がる中で、一定の制限が行われることはやむを得ない措置ではありますが、高輪築堤跡の重要性を鑑みると、一般公開の機会はあまりにも少ないと言わざるを得ません。9月30日をもって、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置は、全都道府県で解除されました。感染対策を継続していく必要はありますが、これまでと比べると、一般向けの現地公開をおこなう際の障壁は下がっているはずです。

 発掘調査で遺構が露わになる時は、遺跡の実像を全身で感じ取れる貴重な機会です。写真や動画では得られない、本物に接した感動を得られる機会です。世界遺産級とも言われる高輪築堤跡は、より多くの人々に公開されるべきです。

 以上により、日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員会は、下記の通り要望いたします。

 

 

1 東日本旅客鉄道株式会社は、港区教育委員会と連携・協力し、高輪築堤跡の一般向け現地公開の機会を大幅に拡充すること。

2 文化庁、東京都教育委員会、港区教育委員会は、高輪築堤の一般向け現地公開を拡充するよう、必要な指導および支援を東日本旅客鉄道株式会社におこなうこと。

掲載開始日
発信者
埋蔵文化財保護対策委員会
回答内容

広文振第344号
令和3年9月27日

 

一般社団法人日本考古学協会
埋蔵文化財保護対策委員会
委員長  藤 沢  敦 様


広島市長 松井 一實
(市民局文化振興課)

 

広島城跡(サッカースタジアム建設予定地)における遺跡の保存に関する要望書への 
本市の回答に対する再要望について(回答)

 

令和3年9月10日付けで要望のありました件について、次のとおり回答させていただきます。

 

1  2021年8月5日付け埋文委第4号「広島城跡(サッカースタジアム建設予定地)における遺跡の保存に関する要望について」に対し、市長名での正式な文書による回答を行うこと。

 (回答)

   前回令和3年8月16日付けで課長名で回答した文書については、市の内部で組織的に調整を行い、決裁手続きを経て発出した公文書であることから、改めて発信者を変えて文書を作成する必要はないと判断しております。

 

2  広島城跡(サッカースタジアム建設予定地)における陸軍中国軍管区輜重兵補充隊関連遺跡の遺構について記録保存を前提とした調査・作業の即時停止し、市民・識者・団体・関連学会等の意見をもとに、現地保存を前提として事業計画を見直すこと。

 (回答)

   今回の発掘調査は、スタジアム建設に伴いスタンド等の基礎工事などを行うため、地盤を破壊せざるを得なくなる範囲に限定して、近世及び近代の遺構の状況を記録するために行うものですが、残りの建設予定地の9割弱に存在する旧陸軍施設の遺構は、現状のまま地下に保存されることになります。

   発掘調査については、必要とされる所要の手続きを確実かつ、適正に行ってきているものであり、各層各所からいただいた意見や要望は、今回の記録保存が将来的な広島の歴史の解明に資するものとなるようにしていく中で、参考とすることとしています。

   市としては、近世及び近代の遺構の保存とスタジアム建設の両立を図るべく作業していることを御理解いただきたいと思います。

 

3  上記の対応および十分な発掘調査を実施するため、必要な期間を確保するとともに、適切な考古学的方法による発掘調査を実施すること。

(回答)

  発掘調査については、国の作成した埋蔵文化財に係る基準等に則って適切な手法で実施しており、考古学を始め近世、近代史、建築史、民俗学など文化財に関する様々な分野の学識経験者で構成される本市文化財審議会委員から意見をいただいているほか、現地を視察した広島県教育委員会や考古学関係者などの意見も踏まえながら行っています。市としては、当初の方針どおり、スタジアム建設に伴いスタンド等の基礎工事などを行うため、現状保存が困難な範囲について近世及び近代の遺構の状況を記録保存することとしており、現時点では、計画しているスケジュールの中で、記録保存に必要な調査期間を確保できるものと考えています。

掲載開始日
発信者
広報委員会
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2021年9月25日の9月理事会にて、東京都港区高輪築堤跡の保存に関して、改めて会長名による声明文の発出を決議し、次のとおり関係機関に送付いたしました。

 

声明「ただちに築堤の破壊をやめ、コロナ後のまちづくりを考えよう」.pdf

URL:https://youtu.be/sWF8TeE6cho

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埋蔵文化財保護対策委員会
要望書の内容

埋文委 第5号
2021年9月10日

広島市長   松 井  一 實 様

                      一般社団法人日本考古学協会
                      埋蔵文化財保護対策委員会
                      委員長 藤 沢   敦

 

広島城跡(サッカースタジアム建設予定地)における遺跡の保存に関する要望書への
貴市の回答について(再要望)

 

 標記の件について、別添書類のように、当該遺跡は学術上きわめて重要な内容を有するものであり、貴職におかれましては、適切な保存の対策が講じられることを改めて要望いたします。

 なお、まことに恐縮ですが、当件に係る具体的な措置および対策につきまして、2021年9月30日(木)までに、当協会埋蔵文化財保護対策委員会委員長宛にご回答を下さるようお願いいたします。

 1 提出書類
   別添のとおり 1通


2021年9月10日

広島市長   松 井  一 實 様

                      一般社団法人日本考古学協会
                      埋蔵文化財保護対策委員会
                      委員長 藤 沢   敦

 

広島城跡(サッカースタジアム建設予定地)における遺跡の保存に関する要望書への
貴市の回答について(再要望)

 

 平素より、日本考古学協会の活動に関しまして、ご理解とご協力をいただき感謝いたします。
 さて、先般、市民局文化振興課文化財担当課長名にて、広島城跡(サッカースタジアム建設予定地)の保存要望に係る当埋文委第4号に対する回答をいただきました。その回答を確認検討したところ、文書形式及び内容についてきわめて遺憾なものと判断いたしました。
 まず、本会は市長宛に正式な文書を提出させていただきました。にもかかわらず、回答文書は公印もなく、文書番号も付与されていない、担当課長の私文書というべきものでありました。公文書として文書発行記録簿にも掲載されない恐れすらあり、市としての正式な見解を示した回答文書として受け取ることができません。
 次に、陸軍中国軍管区輜重兵補充隊関連遺跡の遺構について、貴市は「文化財審議会委員によるもの以外でも、頂けるものは、記録保存に資するよう、広く収集に努めることとしています。」としながらも、当学会だけでなく、多くの市民・識者・団体等の意見を無視する形で9月4日に一部遺構の切り取りを強行しています。「記録保存」を前提としてその有用性ばかりを前面に押し出し、「広く公開するための」記録そして具体的方法の検討も十分でないまま、貴重な遺構の現地保存を無にした貴市の姿勢に遺憾の意を示します。
 さらに、調査期間についても、想定外の貴重な遺構が多く出土したことから極めて慎重な調査が必要となっているのにもかかわらず、貴市は「現在、設定しているスケジュールの中でこなすことができる」としています。貴重な埋蔵文化財を軽視し、あくまでサッカースタジアムの建設を優先する貴市の姿勢は、強く憂慮すべきことと思います。
 以上により、日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員会は今回の貴市からの回答及びその後の対応について、とうてい容認できないことを申し添えるとともに、改めて下記の通り要望いたします。

 

1 2021年8月5日付け埋文委第4号「広島城跡(サッカースタジアム建設予定地)における遺跡の保存に関する要望について」に対し、市長名での正式な文書による回答をおこなうこと。

2 広島城跡(サッカースタジアム建設予定地)における陸軍中国軍管区輜重兵補充隊関連遺跡の遺構について記録保存を前提とした調査・作業の即時停止し、市民・識者・団体・関連学会等の意見をもとに、現地保存を前提として事業計画を見直すこと。

3 上記の対応および十分な発掘調査を実施するため、必要な期間を確保するとともに、適切な考古学的方法による発掘調査を実施すること。

以上

掲載開始日
発信者
埋蔵文化財保護対策委員会
回答内容

文 財  第 249 号

令和3年(2021)8月25日

一般社団法人日本考古学協会

埋蔵文化財保護対策委員会

委員長  藤沢 敦  様

出雲市長 飯塚 俊之

 

「大社基地遺跡群の学術調査と保存に関する要望書」に対する回答について

 

2021年4月23日付埋文委第1号で出雲市長及び出雲市教育委員会教育長に対しいただいた要望書に対しまして、下記のとおり回答致します。

 

要望事項

1.大社基地遺跡群の総合的な学術調査を行うこと。

2.大社基地遺跡群を保存し、史跡として整備し、国民的財産として活用すること。

 

【回答】

 戦争の記憶を後世に伝えることの大切さを踏まえ、出雲弥生の森博物館等で行う戦争の爪痕を伝える展示や歴史学習で活用する資料とするため、また滑走路跡の正確な記録をとるための調査を行う考えです。

 なお、滑走路跡の一部を、歴史学習を行うための場所として残し、活用することを検討しています。

 

 

 

掲載開始日
発信者
埋蔵文化財保護対策委員会
要望書の内容

2021年8月16日

 

文部科学大臣 萩生田光一 様
国土交通大臣 赤羽一嘉 様
文化庁長官 都倉俊一 様
東京都知事 小池百合子 様
東京都教育委員会 教育長 藤田裕司 様
港区長 武井雅昭 様
港区教育委員会 教育長 浦田幹男 様
東日本旅客鉄道株式会社 代表取締役社長 深澤祐二 様

 

 

日本歴史学協会 委員長 若尾政希

日本考古学協会 会 長 辻 秀人

 

 

高輪築堤の全面保存を求める共同要望について

 

日本歴史学協会と日本考古学協会は、考古学・歴史学の研究の基礎をなしている、史資料・遺物・遺構ならびに文化財をめぐる調査や研究、保存や活用にかかわる諸問題に対し、これまでも積極的に取り組み、関係者等と綿密に連携を図りながら、その解決に向けて対応しております。

 わたくしどもは、関係諸学会とともに、今回問題となっている、東京都港区にあるJR高輪ゲートウェイ駅周辺の「品川開発プロジェクト」の大規模工事にともなう発掘調査で発見された、明治5年(1872)に開業した日本最初の新橋横浜間鉄道の遺構である「高輪築堤」について、産業史、鉄道史・交通史に加え、工学、技術史の側面から、日本近代史を象徴する極めて重要な遺構であるとの評価を行いました。その上で、学術調査の進捗状況や保存の方向性について常に注視をしながら、出土した築堤遺構の全面的な現地保存を求めて、再三再四、関係者に対し要望書や声明を発してまいりました。

 その中で、4月21日に事業者である東日本旅客鉄道会社が、高輪築堤「第七橋梁部」80㍍と公園予定地40㍍の築堤遺構の現地保存ならびに「信号機」遺構の移設を行うことを明らかにするとともに、残りの700㍍の遺構については「記録保存」とする、という方針を表明いたしました。それに対し、日本考古学協会は、この方針を「容認できない」としたうえで、貴重な高輪築堤遺構の一般公開の機会を設け、多くの人びとや様々な分野の専門家から保存の必要性などについての意見を聞くことが重要であるとの表明を行いました。

 しかしながら、5月18日には高輪築堤遺構の大部分を占める700㍍部分について、開発工事にともなう「記録保存」、すなわち遺構撤去のための調査が開始され、当該遺構の保存が日を追うごとに難しい状況となっております。

 日本考古学協会ならびに日本歴史学協会は、このような事態を招いたことについて、これを「高輪築堤」が有している文化財(史跡)の本質的価値の高さと、全面保存の必要性が関係当事者に十二分に理解をされなかった結果と受け止めるとともに、このような対応となったことについて「遺憾」の意を表明いたします。

 その上で、「高輪築堤」の現状ならびに今後の方向性を鑑みて、以下の点を要望いたします。

 

(1)改めて「高輪築堤」の全面保存を求めるとともに、その構築方法・構造等、遺構の価値を明らかにするための調査を慎重に実施し、そのうえで史跡として保存する範囲を再検討すること。

⑵昨今の文化財保護法の改正によって、文化財の確実な「保存」と「活用」が求められる条件が整いつつある。今後、「高輪築堤」遺構の公開(活用)を検討する前提条件として、最新の保存技術などを駆使し、保存を確かなものとしたうえで整備や公開にのぞむこと。

⑶当該遺構周辺の開発においても関連する遺構が存在する可能性があることから、両協会ともに引き続き注視をしていく所存である。関連する遺構が発見された場合は、高輪築堤と一体化した保存を視野に入れて議論の俎上にあげること。

⑷今後、地域住民や一般の方々からの保存や活用を求める声が高まることも予想されるが、その主旨や意見を十分に受け止めて、国民共通の文化遺産である「高輪築堤」保存・活用のあり方に反映させること。

 

以上

URL:https://youtu.be/M9JpSDfhoGs

 

日本歴史学協会 ホームページ
http://www.nichirekikyo.sakura.ne.jp/

掲載開始日
発信者
埋蔵文化財保護対策委員会
回答内容

令和3年8月16日

 

 一般社団法人日本考古学協会
 埋蔵文化財保護対策委員会
 委員長  藤 沢  敦 様

 

 

広島市市民局文化振興課
文化財担当課長 平田 太

 

広島城跡(サッカースタジアム建設予定地)における遺跡の保存に関する要望について(回答)

 

 

 時下ますます御清栄のこととお喜び申し上げます。平素から本市の文化財保護行政推進に当たり、御協力を賜り、深く感謝申し上げます。

 令和3年8月5日付けで要望のありました件について、担当課である当課から次により回答させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 

1 「陸軍中国軍管区輜重兵補充隊関連遺跡の調査成果を広く公開し、市民・学識経験者の意見と専門的知見・評価の収集に努めること。」

2 「平和都市広島市として、陸軍中国軍管区輜重兵補充隊関連遺跡の重要性と価値を十分に検討し、事業計画の見直し・現地保存を含めた遺跡の保護策を講じること。」

 

 (回答)

本市においては、広島城の城郭遺構や戦前の陸軍施設の遺構のある中央公園が、サッカースタジアム建設予定地とされるまでの間の議会を始め市民の各層にわたる意見や経過を踏まえつつ、文化財保護法上の保護を図るため、陸軍中国軍管区輜重兵補充隊関連遺跡を記録保存することとしたものであり、記録の作成は発掘調査の成果を広く公開するためのものでもあると考えています。

当該遺構についての意見や評価については、文化財審議会委員によるもの以外でも、頂けるものは、記録保存に資するよう、広く収集に努めることとしています。サッカースタジアムの建設に当たっては、遺構の重要性等に鑑み、スタジアムのスタンドの基礎工事部分以外は、現地保存が行えるようにするなど、遺跡を保護するための工夫を行っているところです。

 

3 「上記1・2の対応および十分な発掘調査を実施するため、必要な期間を確保すること。」

 (回答)

上記1・2の対応については、現在、設定しているスケジュールの中でこなすことができるものと考えています。

掲載開始日
発信者
埋蔵文化財保護対策委員会
要望書の内容

埋文委 第4号
2021年8月5日

 

広島市長   松 井  一 實 様

 

                      一般社団法人日本考古学協会
                        埋蔵文化財保護対策委員会
                      委員長 藤 沢   敦

 

広島城跡(サッカースタジアム建設予定地)における遺跡の保存に関する要望について

 

 標記の件について、別添書類のように、当該遺跡は学術上きわめて重要な内容を有するものであり、貴職におかれましては、適切な保存の対策が講じられることを要望いたします。

 なお、まことに恐縮ですが、当件に係る具体的な措置および対策につきまして、2021年8月16日(金)までに、当協会埋蔵文化財保護対策委員会委員長宛にご回答を下さるようお願いいたします。

 

 

 1 提出書類
   別添のとおり 1通


埋文委 第4号
2021年8月5日

 

広島市長   松 井  一 實 様

 

                   一般社団法人日本考古学協会
                     埋蔵文化財保護対策委員会
                    委員長 藤 沢   敦

 

 

広島城跡(サッカースタジアム建設予定地)における遺跡の保存に関する要望について

 

 広島城一帯は、近世から近代にかけて、「城下町広島」「軍都広島」の政治的・軍事的中枢として、「都市広島」の形成に重要な役割を果たしてきました。現在発掘調査の進むサッカースタジアム建設予定地も、史跡広島城跡の隣接地で、広島城の「西の出丸」「西の丸」に相当し、明治時代以降は「輜重兵補充隊」等として利用された場所にあたります。

 当該地点における、近代の軍事施設に対する前例のない規模での発掘調査により、溝や通路によって整然と区画された敷地に厩舎や兵舎、浴場に関わる建物が配置された、陸軍中国軍管区輜重兵補充隊関連施設の状況が明らかとなりました。軍事関連施設については不明な点が多いなか、今回の発掘調査成果は貴重な歴史資料となるものです。

 そして、これらの施設は原爆によって壊滅しており、直接的な被爆痕跡を留めている可能性を残しています。戦後から現在にいたる再開発により被爆痕跡の多くが消滅し、被爆体験の継承も課題となるなか、地中に埋もれた被爆の痕跡は、被爆建物・樹木・橋梁などとともに総合的に保存・継承の方策を検討することが求められます。

さらに、下層では近世の広島城西の丸関連の遺構群の出土が予想されます。天守閣の木造再建構想や三の丸の整備計画を含む「広島城基本構想」が策定されるなか、今回調査が進められている西の丸も含め、かつての広島城全体を歴史遺産として保存・活用していくことを構想しなければなりません。

 広島市が近代の軍事施設に関係する遺跡を埋蔵文化財として取り扱い、発掘調査を実施したことには敬意を表し、その調査成果を高く評価するものです。この評価を一層確かなものとし、さらに近世広島城に関わる文化財とともに、広島市の未来を考える歴史遺産として保存・活用していくため、広く市民や学識経験者の意見を聴取し、柔軟に検討・対応する必要があると考えます。

 以上により、日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員会は下記の通り要望いたします。

 

 

1 陸軍中国軍管区輜重兵補充隊関連遺跡の調査成果を広く公開し、市民・学識経験者の意見と専門的知見・評価の収集に努めること。

2 平和都市広島市として、陸軍中国軍管区輜重兵補充隊関連遺跡の重要性と価値を十分に検討し、事業計画の見直し・現地保存を含めた遺跡の保護策を講じること。

3 上記1・2の対応および十分な発掘調査を実施するため、必要な期間を確保すること。

以上

掲載開始日