文化庁長官 河合隼雄 様 北海道知事 高橋はるみ 様 北海道教育長 相馬秋夫 様 森町長 湊美喜夫 様 森町教育長 伊藤忠義 様 日本道路公団北海道支社長 窪寺克次 様
北海道縦貫自動車道(国縫〜七飯間)建設工事に伴う鷲ノ木5遺跡の発掘調査では、縄文時代後期に遡る大型の環状列石と竪穴墓が近接して発見されました。これらが縄文後期社会を解明する上で大変重要な遺構群であることが判明し、その高い学術的価値を背景にして、多くの学術団体や研究者から遺跡の保存を要望する声が沸き上がり、新聞などでも盛んに報道されたことは周知の通りです。
日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員会でも当該遺跡の重要性に鑑み、北海道民のみならず国民共有の財産として遺跡を全面保存し、将来にわたり有効に保護・活用されるよう、関係諸機関に要望書を提出いたしました。また、現地視察を行った上、森町教育長と面談して遺跡の重要性と保存・活用を訴えて参りました。
このたび、文化庁や北海道庁、森町、日本道路公団をはじめとする関係諸機関の多大なるご尽力により、地下工法による遺跡保存を決定したとの報にふれました。皆様のご英断に敬意を表し、感謝申し上げる次第です。
これからも埋蔵文化財保護の趣旨をご理解いただき、引き続き鷲ノ木5遺跡の国史跡指定を展望した上で、学術的な総合調査と、保存・修復・活用を推進し、文化財の保護対策において万全を期されるよう、重ねてお願い申し上げます。
最後ではありますが、上記については、微力ながら本協会も総力をあげて協力する態勢にあることを申し添えさせていただきます。