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2004年7月理事会記録

1.会員の訃報について

 萩原理事から、奈良県の田代克己会員が2004年4月5日に、岩手県の小田野哲憲会員が7月3日に亡くなられた旨の報告があった。

2.陵墓懇談報告

 菱田理事から、〔1〕7月9日(金)に14学・協会21名が参加して、宮内庁との懇談を行った。協会からは菱田と石川理事が参加した。〔2〕懇談に先立ち、明治大学博物館に会場を借りて事前打ち合わせを行ったところ、長期にわたって不参加の続く史学会の扱いが問題になり、脱会も含めて検討することになった。また、懇談会・見学会とは別に陵墓問題について、学・協会間で意見交換の場をもちたいとの提案があった。〔3〕懇談の席上、宮内庁側から保全整備工事に伴う従来のふとん籠工法を取りやめて捨石工法に変更したことが報告された。これに対し、現状固定することの変更を申し入れたが受け入れられなかった。但し、見学時の学・協会からの要望については、回答する用意はあるようだ。〔4〕今年度の事前調査は、雲部車塚(雲部陵墓参考地)であり見学会は11月頃の予定、との報告があり、続けて石川理事から、〔5〕展示会開催の増加と、開催に当たって広く公開することを要望したが、了解は得られなかった。しかし、要請があれば、資料の貸し出しには応ずるとのことである、との説明があり、了承された。

3.2005年度新入会員資格審査について

 百瀬理事から、審査日程ならびに審査委員候補者(案)の説明があり、8月中を目途に審査委員を委嘱することが了承された。

4.国宝・重要文化財、史跡等の保存にかかわる国庫補助制度の存続を求める要望について

 橋口理事から、〔1〕地方分権推進のための三位一体改革の一環として補助金制度改革が推進されており、全国知事会・全国市長会等の緊急提言の中に、「国宝重要文化財等保存整備費補助金」・「史跡等購入費補助金」制度を廃止し、税源移譲すべきとの内容が盛り込まれる見込みであることが判明した。〔2〕これに対し、最終提言のとりまとめが7月15日〜20日であったことから、急遽、埋文委の近藤委員長と矢島委員を中心に表記要望書の原案を作成し、田村会長、西谷副会長ほか文化財保護担当理事に案文の検討を諮り、7月9日付で総務大臣・財務大臣ほか関係機関に要望書を提出した、との報告があり、了承された。さらに、この件については、事態の重要性から協会の公式サイトならびに会報にも掲載することが了解された。

5.埋文委報告

 橋口理事から、〔1〕群馬県太田市成塚向山1号墳の保存問題につき、7月12日に北條事務局長と松崎幹事が現地視察を行い、県教育委員会ならびに県埋蔵文化財調査事業団と意見交換を行った。7月末までに再要望書を提出する予定。〔2〕和歌山県根来寺遺跡の保存問題につき、6月28日に橋口副委員長・松本事務局次長・鈴木幹事・小賀委員・百瀬理事の5名が岩出町教育委員会を訪れ、要望書の趣旨説明を行った。〔3〕三重県四日市市久留倍遺跡の保存問題については、三重県と四日市市から回答を得ているが、現在も関係諸機関の協議が進められていることから、その動向を見ながら今後の対応をはかってゆく。〔4〕兵庫県芦屋市岩ヶ平石切丁場跡の保存問題は、7月4日に現地説明会が開催された。調査は8月半ばまで延長されたが、再要望書の送付も含めて今後の対応を検討する。〔5〕夏期研修会は、9月25・26日に千葉県千葉市の貝塚群巡検を中心に開催する、との報告があった。

 続けて、百瀬理事から根来寺遺跡・岩ヶ平石切丁場跡の補足説明があった。また、佐久間理事からは、岩ヶ平石切丁場跡の補足説明が行われるとともに、平城宮跡の保存問題について、中国蘇州で開催された第28回世界遺産委員会において、7月2日付で決議文が採択された旨の報告があった。

6.規則等素案検討小委員会の設置について

 石川理事から、総会で決定を要する規則の素案ならびに、理事会で決定を要する内規等の原案を検討し作成する小委員会の設置が提案され、了承された。小委員会の構成は、木下副会長・石川理事(総務担当)・百瀬理事(組織担当)・橋本理事(組織担当)・外山常務理事の5名である。

7.倫理綱領の制定について

 外山事務局長から、前理事会からの経緯説明とともに、今期理事会でとりまとめ来春の総会に提案することにしたいとの提議があり、了承された。続けて倫理綱領制定小委員会の構成が検討され、田村会長・木下副会長・石川理事(総務担当)・百瀬理事(組織担当)・橋本理事(組織担当)・鶴丸理事(研究環境整備担当)・谷川会員(前理事会総務担当)の7名となった。

8.会報掲載受贈図書の扱いについて

 稲野理事から、『会報』に掲載している「受贈図書欄」は、毎号の掲載頁数が多く、書籍のデータベースとするには省略が多いことから、掲載の必要性について検討が要請された。これについては萩原理事から、かつて会報担当委員であった当時、同様の提議を行ったことが報告され、田村会長からは、その時の回答として、会報に掲載される以外に寄贈者名がどこにも明示されないため、受贈図書の頁の存続を要望したことが説明された。検討の結果、現在は手書きの図書カードを、今後はパソコン上で作成したうえ公式サイトへの掲載も図る予定であることから、パソコン上のフォームに「寄贈者欄」も加えたかたちで作成し、サイトで公開していき、『会報』への掲載はとりやめることが了承された。

9.機関誌について

 辻理事から、『日本考古学』第18号の編集進捗状況の報告があり、現状では科研費申請の予定頁数に達していないことから、各理事に協力が要請された。

10.その他

〔1〕2004年度新入会員について

 外山事務局長から、今春の第70回総会では146名の入会が承認されたが、そのうち1名が期日までに入会手続きを行わなかったため、入会の意思がないものと認めた。よって、2004年度の新入会員は145名である、との報告があり了承された。

〔2〕聖嶽洞穴遺跡捏造報道訴訟の判決について

 萩原理事から、表記判決に関して協会からのコメントがあるのかという質問が会員から提出されている旨の報告があった。検討の結果、協会として裁判には直接関与していないが、小委員会を設置し活動していた経緯があることから倉前理事と協議し、今後の扱いを検討することが了承された。

〔3〕後援依頼について

 萩原理事から、板橋区立郷土資料館から特別展「杉原荘介と前野町遺跡〜考古学の基礎を固めた巨人〜」への後援名義借用願いが提出されている旨の報告があり、了承された。また、外山事務局長から、展示内容の中には協会設立時の関係資料等があり、特別展終了後に明治大学の協力を願って資料調査を行いたいとの説明があり、併せて了承された。

〔5〕考古資料活用について

 山岸理事から、考古資料データベースについては、前任理事と引継中であること、市川考古博物館と倉庫に分散している協会蔵書の扱いについては、一括管理する方向を模索中であることが報告された。

〔6〕今後の検討課題について

 ・田村会長から、発掘会社の問題につき、実態把握をしたうえで関係機関に指導の徹底を要請したい、との提議があった。これに対して橋口理事から、埋文委で数年前に実態調査をした際の報告があり、今後、埋文委と研究環境整備担当理事を中心に検討を進めることになった。

 ・田村会長から、ねつ造問題以後の考古学への信頼回復を図ることを目的に、全国を対象として各地域の今日的話題をテーマに、考古学の現状を広く平易に伝えてゆく講演会を企画したらどうか、との提案があり、検討の結果、来年度の実現に向け、企画・運営担当の河瀬理事と丹羽理事が計画を進めることになった。

以上